――声優以外でも、ものまねでは尾崎豊からスティーヴィー・ワンダー、さらには声帯模写など多彩さに驚きます。さらには俳優と、そのバイタリティーはどこからくるのでしょうか。
好きだから……演じることが好きなんでしょうね。僕はいろんな声を出す以外なんの個性もない人間だと思っているので、声優は声だけでいろんな役になれる仕事ですから。演じることで、自分じゃない何者かになれる、その人物を生きることができる快感でしょうか。特に声優は、自分とものすごくかけ離れたものを演じられる可能性があるので、それが楽しくてしょうがないということでしょうね。
それと、やはりこうやって人に楽しんでもらったり喜んでもらったり感動してもらえる作品に関わっていられる喜び。『ポケモン』なんて、海外まで含めて毎年たくさんの人が楽しみにしてくれていますから。それに、今年のジャービスもそうですが、作品の中で与えられた役というのは、今回僕しかやらない役なわけですからね。これだけ多くの声優がいる中でです。それは非常にありがたいことですよね。
――『おはスタ』の時は朝に加えて収録ですよね。そこまで続けられた体力維持の秘訣は?
体力ないんですよ(笑)。もっと体力がないといけないなと思っているんですが……。『おはスタ』をやっている時は寝不足になりがちだったので、鍛えるというより温存するという意味で、無理をしないようにする感じだったんです。でもこれからは年齢もありますから、もっと鍛えていかなければいけないなと。どんな仕事でもそうですが、心も体も強くないと続けていくのは大変ですよね。
『おはスタ』が終わった今は、毎朝4時に起きる必要もないので自分へのご褒美としてたっぷり睡眠をとって、ささやかにお酒を楽しんでいます。ただこれからは、部屋を片付けないことも、ジムに行かないことも言い訳ができなくなりました(笑)。なかなかこの年齢で朝の帯番組をやっている人はいなかったので、人に対してではなく自分に対する言い訳にしていたんですよ。昔だと55歳って定年する人もいる年齢ではあるのですが、僕自身としてはこれから頑張ろう、なんならこれから親になろうと思ってますからね。一方で、今まわりにいるスタッフの人たちの中には『おはスタ』を見て育ったという世代がたくさんいますから、大事な仕事をやらせていただいていたというのを卒業して感じます。
――今回、「おはガール」だった松岡茉優さんと共演されていますが、何かアドバイスはされましたか?
『おはスタ』を卒業するのでいろんな人に来てもらった時に、その中に茉優もいて、「今度ポケモン出るんです」と教えてくれて、「お互いに頑張ろう」という話をしました。彼女は洋画の吹き替えをやったことはあるのですが、アニメは初めてなので不安だと話していたので「大丈夫だよ」と。その洋画の吹き替えの時に、初めて声優をやるということで電話がかかってきて、1時間くらい話しましたね。
――『おはスタ』後も交流があったんですね。
メールはしてましたね。一度『おはスタ』のイベントを見に来てくれたこともありました。なかなか会おうと思っても会えず、「あれ見たよ」とかメールで報告する感じですね。「おはガール」の子たちは、卒業したあとはそれぞれの道で元気にやっていてくれればそれが一番なのですが、でもやっぱり一緒に共演できて、活躍しているというのは非常にうれしいですよね。
もともと才能ある子でしたけれども、どんどん力をつけて、もうびっくりするくらい活躍している。作品を見てみると芝居がいいんですよね。それに女優だけじゃなくてバラエティーまでやってますから。でも、いろんな番組に出るたびに『おはスタ』の名前も出してくれたりして、「もっと俺の名前も出していいんだよ」って話したりもするんですが(笑)、周りから「松岡茉優っておはガールだったんでしょ」って言われたりとすると、こちらも自慢ですよね。
ポケモン映画最新作『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z「ボルケニオンと機巧のマギアナ」』は7月16日より全国ロードショー。
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