映画、ドラマ、バラエティと、八面六臂に活躍する沢村一樹が、WOWOWの『連続ドラマW希望ヶ丘の人びと』(7月16日土曜 22:00~ 全5話・1話のみ無料放送)に主演する。彼が演じたのは、どこか頼りないトホホなパパという新鮮な役どころだ。
原作は、重松清の同名小説。架空のニュータウン「希望ヶ丘」を舞台に、突然の病で妻(和久井映見)を失った主人公・田島(沢村)が、遺された子どもたち(桜田ひより、二宮慶多)と、日々奮闘していくというホームドラマだ。NHK連続テレビ小説「ちゅらさん」の岡田惠和の脚本で、『神様のカルテ』2作などを手掛けた深川栄洋が監督を務めた。
撮影中の沢村にインタビューし、全幅の信頼を預けているという深川監督の現場の面白さについて語ってもらった。
――深川監督とは連続ドラマ「偽装の夫婦」でもご一緒されていますが、現場はどんな感じなのですか?
深川ワールドは独特で楽しいんです。僕が考えてきたこととは真逆の演出をされるので。僕が役を作っていくと、すぐにばれます(苦笑)。それがよほど面白ければ、「ああ、いいですね」と言ってくれますが、抗おうとすると手強いです。やったことのないことをやらされるし、いろんなものをぐいぐいと引き出してくださる。そういう器用さや頭の良さがある監督なので、とても楽しいです。今回、僕はたぶん、今までしたことのない顔をいっぱいしているような気がします。新鮮でした。
――たとえば、深川栄洋監督の演出では、どんな指示が入るのですか?
このドラマではそんなに大きな事件が起こらないので、演じる方としては、何かドラマを作っていかなきゃと思ってしまうんです。でも、現場に行くと「何もしないでください」と言われたりします。その時の天気や空気感全部を感じていないとできないような現場なんです。それがすごく気持ち良くて。
テンポが良いドラマには、ものすごくカット数が多い現場ならではの良さがあるんですが、ここでは全然違う面白さがあります。そこがたまらないですね。僕はドキュメンタリーが好きでよく観るんですが、普通の人がただしゃべっているだけで、気がついたら瞬きすら忘れてじっと観てしまうことがあって。深川さんは、ああいうものを目指してらっしゃるのかなと。
――その演出に戸惑いなどはありませんか?
そうですね。深川さんはグラグラに揺さぶりますから。極端な話、「わーっ」と台詞を言うところなのに「後ろ向きで顔は見せないでください」といった演出をされるんです。でも、それをやってみると、なんか正解な気がしてきます。顔を見られていると、目で芝居をしたり、いろんなことを表現しようとするけど、そんなものはいらないと。余計な小細工ができないです。自分のクセでしたくなるんですが、やっていくうちにだんだん慣れてきました。