えびおろし普及のきっかけを作った老舗「えびすや 本店」

「えびすや 大治店」がえびおろしをメニュー化したのが昭和45年(1970)頃。昭和50年代以降になり、他店にも広まっていったが、そのきっかけを作ったと言われているのが「えびすや 本店」だ。

「えびおろし」(1,450円)。有頭えびが豪快に盛られる

開業は昭和51年(1976)。繁華街である名古屋市中区・錦3丁目に出店し、開店後しばらくして深夜営業を始めた同店。そこで提供していたえびおろしは、周囲の水商売の人たちやその客の間で評判になったのだとか。

「当時、夜遅くに食事ができるのは1人4,000～5,000円はかかってしまう、すし屋しかなかった。一方えびおろしは、1,000円少々でおなかがいっぱいになるとありがたがられたのです」と語るのは中山義規専務。そば・うどんのチェーン店「サガミ」が初の郊外大型店として昭和49年(1974)にオープンした一社店(名東区)で、えびおろしが採用されたことも、多くの人に知ってもらうきっかけになったと考えているという。

店内に入ると麺打ちの様子を見られる

昭和2年(1927)創業のえびすやは、名古屋伝統の手打ち麺を使用しているのが特徴。高濃度の塩水で粉をこね、1晩寝かせてのばすことで、粘りと弾力を持った強いコシを持った麺を完成させている。ギュッとしたかみごたえと、つるつると食べられるのどごしのよさは、冷やし麺でいっそう引き立つ。ジャンボサイズのえび天に負けない麺の存在感こそが、このメニューの魅力だとよく分かる。

場所は繁華街・錦3丁目(通称「錦三」=きんさん)

●information
えびすや 本店
愛知県名古屋市中区錦3-20-7
営業時間: 11時～深夜1時(土曜日・祝日は21時まで)
定休日: 日曜日
アクセス: 地下鉄・栄駅より徒歩5分