次に制作陣に目を向けると、脚本に桑村さや香氏、演出は金井紘氏ら、そしてプロデュースに藤野良太氏とある。これは昨年夏に、福士蒼汰と本田翼が主演した月9ドラマ『恋仲』の制作チーム。年齢的には30代が中心で、若手のみずみずしい感性による物語展開やセリフが、多くの若者のハートを掴んだ。今作は神奈川県の湘南が舞台で、映像のキラキラ感がまず心を弾ませてくれる。
そしてキャスト。桐谷美玲、山崎賢人、三浦翔平、野村周平と「若者から絶大な支持を得る」と書くことが誇張とはならない俳優陣で、まさに役者がそろった。このほか、大原櫻子、飯豊まりえら次代を担うフレッシュな顔ぶれや、ここ数年、悪女役でブレイクした菜々緒の名もある。菜々緒は、千秋の元恋人・高槻楓役で登場するのだが、彼女が演じるからには、ただで終わるはずがない。キャスティングにすら"フラグ"が潜む采配が見事だ。
また、今作が"ライブ感"のあるドラマになっていることにも触れておきたい。詳細まで書くことは避けるが、例えば美咲が、片手で頬を掴まれ顔を引き寄せられる、聞いていた音楽プレーヤーのイヤホンを貸してくれる、突然のキス…など、(冷静に見ると恥ずかしいが本人たちにとっては)ドギマギのシーンの連続は、当然心を揺り動かせ、ともすれば"ツッコミ心"をも沸かせる。
この"ツッコミ"を皆で共有しながら見るのもきっと楽しいはずだ。SNSなどでリアルタイムに共有すれば、さらに多くの人とつながることができるだろう。特におすすめなのは、日村信之(浜野謙太)と奥田実果子(佐野ひなこ)の登場シーン。2人のバカップルぶりはまさにツッコミの宝庫なので、ぜひリアルタイムであれこれ言って盛り上がってもらいたい。
ドキドキ満載、切なさ満点。深読みもでき、さまざまなツッコミをも許容する今作は、優等生的作品ではないかもしれないが、テレビドラマが持っていた本来の楽しさがたくさん詰まった"テレビドラマとしての原点回帰"とも言えそう。若者向けのラブストーリーと侮るなかれ。今後の展開次第では、若者だけではなく、往年のドラマファンからも話題を呼ぶ新たな名作となる可能性を秘めている。