女優の桐谷美玲と俳優の山崎賢人ら演じる男女が、海辺のレストランを舞台にキラキラの恋愛模様を繰り広げるフジテレビ系月9ドラマ『好きな人がいること』(毎週月曜21:00~21:54)が、きょう11日に15分拡大でスタート。ひと足先に視聴した筆者が、見どころを紹介する。

(左から)野村周平、山崎賢人、桐谷美玲、三浦翔平

ヒロインは、キスの仕方も忘れるほど恋愛にご無沙汰だったパティシエの美咲(桐谷)。美咲はある日、就職活動中に訪れたレストランで、ドアの壊れたトイレの個室に閉じ込められてしまう。このピンチを助けてくれるのが、美咲が高校時代にあこがれていた先輩・千秋(三浦翔平)。千秋の誘いで、彼が経営するレストランで住み込みのバイトを始めるが、そこには超ムカつく次男の夏向(山崎)や、プレイボーイの三男・冬真(野村周平)もいて――!?

まさに月9ドラマの"原点回帰"。そんな王道のラブストーリーの中でも、今回は「逆ハーレムもの」に分類される。このジャンルは『花より男子』(TBS、05・07年)に端を発し、その後『花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~』(フジ、07・11年)など、より大勢のイケメンが登場するファンタジー色豊かな作品へと発展していった。だが、今作でヒロインを取り巻くイケメンは3人。その意味では、"「逆ハーレムもの」の原点回帰"とも見え、シンプルになった分、「イケメン三兄弟と一つ屋根の下で同居生活」のドキドキが、よりリアルに感じられるよう作られている。

メインとなるイケメン三兄弟の設定も楽しい。まず、長男の千秋は典型的な王子様。レストラン業界の新星で、包み込むような優しさがある。次男の夏向はその真逆で、美咲に対して特に厳しい年下の男の子。"ツンデレ"属性をも搭載しており、1話から胸キュンポイントをビシバシとついてくるさまは圧巻だ。三男の冬真は、シェフになるために専門学校に通う学生。非常にチャラく甘え上手だが、実は三者三様、全員が裏の顔も持っていそうで…?

ここまで聞くと「少女漫画でよくある話」と感じられるかもしれない。だが、この「よくある」が実は今作の肝となる。例えば夏向は、シェフとしての仕事にプライドを持っており、千秋目当てでやって来たかに見える美咲に厳しく当たるが、一方で美咲側では、夏向にパティシエとして認められようと献身的な努力をする姿が描かれる。

誤解やすれ違いで男女が衝突するのはこの手の作品の定番で、だからこそ"フラグ"が回収されるか折られるかについて、視聴者は思わずこれまでのパターンを思い返すことになる。この"既視感"や"来た来た感"がとにかく楽しい。そして"フラグ"の数が多ければ多いほど混乱が増し、より来週が待ち遠しくなる。 今作で"フラグ"は、1話でも随所に相当数見られる。登場人物のちょっとした表情も見逃さず放送を見てもらいたい。