iPhoneの販売開始で狙うもの
それは、やはりソフトバンクがサブブランドとして展開しているワイモバイルの影響が大きいだろう。
UQ mobileはKDDIのグループ会社であるUQコミュニケーションズが展開しており、かつてはKDDIとやや距離があったものの、販売面でauとの協力を打ち出すなど、積極的なKDDI側のテコ入れによって、KDDIとの連携を強化。最近ではMVNOながら、auがカバーしきれない低価格層をカバーする、サブブランドに近い位置付けとなりつつある。
そして大手キャリアと密接に結び付きながら、低価格層を獲得するという戦略は、まさにソフトバンクがワイモバイルブランドで展開している戦略そのものだ。そのワイモバイルは今年の3月、春商戦の目玉としてiPhone 5sの取り扱いを開始したが、これが大きな評判となってユーザー数を急拡大している。そうしたことからUQ mobileも、ワイモバイルに追従するべくiPhone 5sの取り扱いを開始するに至ったといえそうだ。
キャリアのサブブランドだからこそなせる業
しかしながらiPhoneを正規ルートで扱うためには、アップルと契約して端末を調達する必要があることから、扱うためのハードルは非常に高い。規模の小さいMVNOはアップルとの交渉テーブルにつくことすら難しく、海外などからSIMフリー端末を独自に調達するなど、正規外のルートで確保する以外に、販売する手段がなかった。
ではなぜ、UQ mobileがiPhone 5sを販売できたのかというと、形式上はMVNOであるものの、実質的にKDDIのサブブランドに等しい位置付けとなりつつあり、KDDIが積極的に関与するようになったことが大きいだろう。UQ mobileは低価格層のユーザー獲得で出遅れ感が目立っていたことから、さらなるテコ入れ策としてKDDI経由で端末を揃え、iPhoneを販売するに至ったと考えられそうだ。
UQ mobileに先んじてiPhone 5sを投入しているワイモバイルも同様だ。しかもワイモバイルの場合、現在はiPhoneを販売しているソフトバンク自身が運営しているブランドであることから、元々iPhoneを扱いやすかったといえる。