ファーウェイは6月26日~29日、中国本社のキャンパスツアーや法人向けICTソリューションの成長戦略について説明するメディア・ツアーを開催。6月28日には、プロダクト&ソリューション グループ 最高技術責任者 李三琦(リ・サンチ)氏がIoTの「1+2+1」戦略について説明した。
同氏は、「IoTは世界のGDPの2/3に影響する」と語る。
そして「ICTのITと、通信の部分であるCTを融合するのがIoTだ。これまでの10年は通信/インターネットによってコンシューマ市場に大きな変革がもたらされた。これからの10年は、IoTが産業全体に影響を与えるだろう」と述べた。
同社がIoTにおいて関わるのは、コネクティビティ(接続)とインフラの部分だという。その戦略は、「1+2+1」戦略と呼ばれるものだ。
「1+2+1」は、1つのIoT OS、2つの接続方式、1つのプラットフォームを指す。
1つのOSとは、同社が開発するオープンソースOS「Huawei LiteOS」だ。このOSは10KB未満という非常に小さいもので、チップに組み込まれ、接続する各機器に搭載される。
2つの接続方式は、eLTE(エンタープライズ向けLTE)、NB-IoT、5Gなどの比較的長距離の通信と、Wi-Fi、NFCなどの短距離通信の2つを指す。
NB-IoTは、既存のLTEを拡張したNB(ナローバンド)の通信で、通常の携帯の基地局の場合は、1つで2000人程度が同時接続できるが、NB-IoTは1つの基地局で10万の通信を行えるという。また、壁1枚程度であれば通過する、消費電力が少ないなどの特徴があるという。
リ・サンチ氏によれば、NB-IoTは2016年のQ3に標準化される予定で、ファーウェイでは、2016年Q4にも対応製品をリリースする予定で、すでに世界60社以上から問い合わせがあるという。
短距離通信の部分では、家庭向けにはスマートホーム・ゲートウェイ、産業向けにはアジャイル・アクセス・ルータが提供される。これらはさまざまなIoT機器を接続するゲートウェイの役割を果たし、通信キャリアと接続する。この装置はさまざまなプロトコルに対応し、多くの機能をソフトウェアで実現するという。
そして、2つの接続方式を管理するプラットフォームが「IoT接続管理プラットフォーム」で、さまざまなIoTデバイスから収集した各種データをアプリケーションから利用できるようにAPIを提供する
リ・サンチはIoT接続管理プラットフォームを、次のように説明する。
「今後、IoT向け接続管理のプラットフォームは論理的には集約される一方で、物理的には分散かつ複数のレイヤーにまたがるアーキテクチャをとることになるだろう。多くのIoT向け接続はストリーム・データやイベント分析を伴うが、それらはデータ・センター、コア・ネットワーク、メトロ・ネットワーク、エッジ・ネットワークなど、異なるレイヤーで発生するだろう。
同様の構造は特定の産業セクターに重点を置いたGEのIoTプラットフォーム『Predix』でも採用されており、産業向けネットワーク・エッジを通じてキャリア・ネットワークの下に、または集約されたデータセンターでキャリア・ネットワークの上に置かれている。ファーウェイはより幅広いIoT接続をサポートするため、複数産業や複数地域をまたぐキャリア・ネットワークに、より重点を置いている。なお、ほとんどのIoT接続は複数のアプリケーションをドメインをまたいでつなぐネットワーク内で処理、フィルタリングされ、集約される。このことは新しいIoTサービスを創出するうえできわめて重要だ。そのため、IoT接続を提供するエコシステム全体のなかで、こうしたプラットフォームが本質的にオープンであることは根本的に重要なことであり、だからこそ複数のIoTプラットフォーム間で相互運用が保証されなければならない」