渓谷美を心ゆくまで楽しめる宿

中津渓谷は季節や時間により趣きを変える。特に紅葉シーズンは、仁淀ブルーの川と深紅の紅葉のコントラストが美しいと人気だ。また、ゆっくり滞在して朝夕の散策を楽しむなら、中津渓谷の入り口に建つ温泉宿「ゆの森」がオススメだ。

写真の奥に見える建物が「中津渓谷 ゆの森」。中津渓谷の入り口に位置している

ゆの森の温泉は川沿い、山沿い、露天の3つの風呂があり、日帰りでの利用も可能。客室は落ち着いた和室のほか、仁淀川町産の木材を使用し、槇(まき)風呂を備えたコテージもある。夕食は宿泊者専用のレストランで和食膳かフレンチのフルコースを選べるほか、宿泊者以外も利用可能な一階のレストランではお手軽な和洋のアラカルト(一品)料理もある。

夕食は宿泊者専用のレストランにて、和食膳またはフレンチのフルコースを

本館和室のどの客室からも"渓谷ビュー"が楽しめる(画像提供: 仁淀ブルー観光協議会)

"土佐のマチュピチュ"は個人の手作り

仁淀にはこの他にもユニークな観光やグルメが多い。例えば昭和10年(1935)架橋、高知県最古の沈下橋「久喜橋」の桁はわずか13mだが、自然と一体となったアーチ型沈下橋は国土の歴史的景観としての価値を認められ、2004年国の登録有形文化財に登録された。橋の名を記した石碑もかわいい。

県内最初のアーチ型沈下橋で昭和10年(1935)架橋された「久喜橋」国指定登録有形文化財、高知県最古の沈下橋

仁淀川町寺村地区には、"天界集落"や"土佐のマチュピチュ"の異名を持つ「花の里公園」がある。この公園は2012年に開園したが、作ったのは地元に住む片岡さんという個人の方で、実に7年の歳月をかけて一つひとつ手作りしたものだ。公園からは眼前眼下に仁淀川の絶景が一望できる。

「花の里公園」は地元人が約7年かけて作った手作りの公園。眼下には仁淀川の絶景、周辺に茶畑や花桃や桜が植栽された癒しスポット(画像提供: 仁淀ブルー観光協議会)

眼前に屹立(きつりつ)する山は手が届きそうなほど近く、連なる山々の裾を縫うように流れる仁淀川はちょうど公園の目の前でU字を描いて蛇行している。U字の辺りは春には花桃で埋め尽くされ、名実ともにここは花の里と化す。眼下に目を凝らすと、川に架かる橋には行き交う車や人の姿があり、山肌の狭い耕地に作られた茶畑や流域に暮らす人たちの家々があり、ジオラマか一幅の絵を見ているようだ。

山にへばりついた集落の風景から"天界集落"や"土佐のマチュピチュ"とも呼ばれている(画像提供: 仁淀ブルー観光協議会)