5分かけ放題で勢い、コミコミプランで勝負をかける
こうしてメイン回線としての利用に自信を深めた楽天モバイルは、6月28日にもいくつかの新しい施策を打ち出している。中でも注目されるポイントの1つは、楽天のポイントプログラム「楽天スーパーポイント」で楽天モバイルの料金を支払えるようになったことだ。
これまでにも楽天モバイルでは、契約しているだけで、楽天市場などの買い物で獲得できるポイントが2倍になるなど、楽天スーパーポイントとの連携を積極的に進めてきた。そして今回、ポイントを獲得するだけでなく、楽天モバイルの中で消費できるようになったことで、楽天スーパーポイントを軸とした楽天経済圏の中に、楽天モバイルを完全に取り込むことができたといえる。
2つ目のポイントは店舗の拡大だ。楽天モバイルは既に9の直営店を設けているが、今回新たに、家電量販店や販売代理店などの協力により、今年度中に100店舗を達成することが明らかにされた。ネットサービスが主体の楽天は、元々店舗で構えて営業しているわけではない。それだけに、元々店舗を持つイオンなどに匹敵する規模で、急速に実店舗を増やしているのには驚かされる。
そしてもう1つ、大きなポイントとなるのが「コミコミプラン」だ。これは、端末とSIM、さらに「5分かけ放題」のサービスをまとめて購入・契約することにより、1年目の月額料金が安くなるというもの。ZTE製の新機種「BLADE E01」と、高速通信容量が2GBのセット「コミコミプランS」の場合、端末込みで1年間1,880円と、非常に安価に利用できる。
サービスと端末のセット契約で料金を安くするという手法は、元々大手キャリアが展開しているものだ。楽天モバイルではやや形は異なるもものの、多くのユーザーが馴染みのある大手キャリアと同様の手法を取り入れることで、契約しやすい仕組みを整えたといえるだろう。もっともコミコミプランは、2年目以降の料金が1年目より高額になるほか、24カ月の契約が必須で、中途解約時は12,000円の違約金を支払わなければならない"2年縛り"の制約が存在する。問題視する向きも多い2年縛りまでそのまま取り入れた所からも、楽天モバイルがキャリアの販売手法を強く意識していることが分かる。
コミコミプランだけでなく、5分間の定額通話や、販売代理店を活用した店舗の拡大、そしてポイントプログラムとの連携強化など、最近楽天モバイルが取っている戦略をよく見ると、実はいずれも大手キャリアの施策を強く意識したものであることが分かる。楽天は、多くの人が馴染みのある大手キャリアに近い施策をあえてとることにより、メイン回線として契約するユーザーを一層拡大しようとしているといえそうだ。