そして、いよいよ自社のパートワーク「週刊ビジュアル江戸三百藩」に取りかかるが、この際も出会いがあった。江戸三百藩はもともと、他社の版元が手がけていたパートワークだった。だが、この版元はパイロット版(テスト版)までは行ったが、撤退した。そこで江戸三百藩の製作会社がハーパーコリンズに着目し、そのコンセプトを元に新作を作り持ち込んだということだ。イーグルモスと組んでパートワークを手がけていたため、「ハーパーコリンズなら」と製作会社は考えたのだという。
2016年6月、ハーパーコリンズ・ジャパンに社名を変更してから第2弾のパートワークとなる「週刊ビジュアル戦国王」を投入した。さらに、ロマンス小説だけでなく一般小説や実用書にも進出。ロマンス小説専門出版社から総合出版社へと大きく変わろうとしている。
“出版不況”が叫ばれてから久しい。全盛期には2兆円を超えていた出版市場規模は年々縮小し、1兆5,000億円ほどまで落ち込んだ。この間、ほとんどの出版社は、雑誌を休刊するなど、“身を守るため”に多くのものを捨ててきた。だがハーパーコリンズ・ジャパンは成長の10年間だったという。総合出版社として、今後どういう戦略を採るのか、注目しておきたい。