カメラ用センサーなどのデバイス分野は、2017年度の業績見通しを下方修正したものの、依然として成長けん引領域であることに変わりはないとした。「2017年度までは利益成長のスピードが鈍化することが避けられないが、ソニーにとって多くの資本を投入している事業。経営として重く受け止めている。環境変化への対応スピードと強みのある領域へのフォーカスが重要である」と話した。
ソニーのミッションを「ユーザーの皆様に感動をもたらし、人々の好奇心を刺激する会社であり続けること」位置付け、「テクノロジー、コンテンツ、サービスへの飽くなき情熱で、ソニーだからできる、新たな感動の開拓者になる」というビジョンを掲げている |
2016年7月には「Sony Innovation Fund」を設立し、ベンチャー企業などへの投資を行う考えも示した |
エレクトロニクス領域については、2016年4月にロボティクスの事業化に向けた新組織を立ち上げており、センサーなどにAI、ロボティクス、通信などを組み合わせた製品を展開するとした。
「ロボット事業は、将来的に物流工程や製造工程など広範囲にわたって展開する予定だが、心のつながりをもち、愛情の対象となるものも」として、AIBOのような役割のロボットの開発も視野に入れていることを示した。こういった考え方のもとに平井社長が掲げたのが「ラスト・ワン・インチ」。通信事業者などが「ラスト・ワン・マイル」と表現していたものにかけた言葉だが、ソニーがより身近な存在になることを強調した。
2016年5月7日に創立70周年を迎えたソニー。「今後も感動を提供し、持続的利益成長を実現するには、新たな事業やビジネスモデルの創造が不可欠。設立趣意書には、創造と挑戦の理念が書かれている。将来的な成長のために、新たな挑戦を加速する時期に来たと感じている。唯一無二の企業体を進化させ、次代につなげることが現経営陣の使命であり、果敢に挑戦していく」と平井社長は話す。2017年度の中期経営計画の目標値は高く、依然としてその達成を危ぶむ声があるのも事実だが、目標達成に向けた強い意思が感じられた。成長戦略を着実に実行できるか、今後も注目したい。