たこ焼きでおなじみ「築地銀だこ」。運営するホットランドが中東進出を発表した。食分野においてはイスラム圏で大きく立ちはだかるハラル。日本の「粉もん」は成功するか

銀だこの定番たこ焼。皮はパリッとしているが、中はふわふわ

ホットランドは、Cipher Nippon Investment L.L.C.(本社:UAE、CEO Fahad Al Gurg 、以下「Cipher Nippon(シファーニッポン)」)との間で、同社グループの主要ブランド「築地銀だこ」「銀のあん(クロワッサンたい焼)」をGCC(湾岸協力理事会)諸国(サウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーン、オマーン、カタール、クウェート)で展開することをめざし、マスターフランチャイズ契約を締結することが決まったと公表した。

クールジャパンが中東進出のスキームを形成

シファーニッポンとは何者か。クールジャパン機構が中東ビジネスについての知見や幅広いネットワークを有するアラブ首長国連邦のCipher Investment L.L.C.とともに、日系外食・小売企業の中東での多店舗展開事業に取り組むため、およそ3億円を出資。両社が共同出資したのがシファーニッポンなのだ。同社が日系外食・小売企業の中東での多店舗展開事業のプラットフォームなり、中東進出を支援する。その第一弾として、今回の銀だこの中東進出となった。

プロジェクトスキームの図。クールジャパン機構HPより

日本の外食ビジネスから見た中東地域とは

農水省が公表している海外における日本食レストランの数の推移をみると、全世界においては2006年に約2万4000だった店数が、2015年には約8万9000店まで拡大している。中東に限ってみると、2006年には約250店だった店の数が約600店、2.4倍に拡大している。地域別でアフリカの次に少ない数となっているが、成長がおおいに期待される地域であることがわかる。

農水省HPより

さらに地域全体の人口規模や、ドバイでは2020年に万博が開催されることが決定していることが大きなポイントだ。なによりこの地域は経済成長が続いており、富裕層・中間層の外食への興味も強く市場のポテンシャルが高い。特に中間層は多様な国籍から形成されていることから、欧米系の有名ファストフードチェーンなども多く存在している。

しかし日系外食企業に関しては有名チェーンの進出がなかったのが現状だ。なぜ日系企業の進出がなかったのか。まさにそれが、クールジャパン機構が支援に乗り出した理由なのだ。進出するためにはハラル対応や商習慣・法制度の違いなどが大きな壁として立ちはだかっている。そのため、現地企業とのパートナーシップが不可欠となっている。そういった状況の中で、できたスキームなのだ。