脳貧血になりやすい人がわかったところで、ここからは予防策について紹介しよう。

発症原因と正反対のことをして予防

基本的には、脳貧血の原因となりうる行動と真逆のことをすれば予防につながると覚えておこう。

■寝ている姿勢から飛び起きない(頭を急激に動かさない)

■長時間の立ち仕事をする際は時折座るなどして、立ちっぱなしを避ける

■ウォーキングなどの定期的な運動の実施

■長湯を避け、どうしてもする場合は入浴前に水分補給

■血管を拡張させる薬の服用を止め、他の薬に置き換える

■バランスのよい食事をし、なるべくストレスをためないようにする

運動は下半身を鍛えるトレーニングやスポーツを行ったほうがよい。筋肉には血液がストックされるが、下肢に血液がたまると脳に血液が戻りにくくなり、脳貧血やむくみにつながる。ところが脚の筋肉を鍛えると血管収縮がよくなり、脚から心臓へとポンプのように勢いよく血液を送りやすくなるからだ。長時間立ったままでも、同様に下半身に血がたまりやすくなる。心臓や脳へと戻っていく血液量が減るため、どこかでタイミングを見つけて座るようにしよう。

長湯につかると末梢(まっしょう)血管が開き、血圧が下がりやすくなる。その状態で風呂から出ようと急激に頭を動かすと、脳貧血になる可能性が高まる。体内に循環する血液量を維持するため、ポイントは「入浴前の水分(アルコールは除く)」だ。

治療法は、頭を下げて足を上げる

万一、脳貧血になってしまった人が周囲にいた場合の対処法もまとめておこう。対処法は「その場で横になって頭の位置を下げ、同時に足を上げられるようなら上げる」。これだけでOKだ。

脳に血液が十分に届いていないことが脳貧血の原因のため、頭を低い位置に持ってくればおのずと血が脳に集まりだす。横になるスペースが確保できないようならば、その場にうずくまるだけでもよい。

脳貧血の仕組みさえわかっていれば簡単なことなのだが、それを知っているか否かが時に大きな「差」となって現れる。これを機にぜひ脳貧血の症状や治療法を覚えてほしい。

※写真と本文は関係ありません

記事監修: 福島崇夫(ふくしま たかお)

日本大学医学部・同大学院卒業、医学博士。日本脳神経外科学会専門医、日本癌治療学会認定医、日本脳卒中学会専門医、日本頭痛学会専門医、日本神経内視鏡学会技術認定医。大学卒業後、日本大学医学部附属板橋病院、社会保険横浜中央病院や厚生連相模原協同病院などに勤務。2014年より高島平中央総合病院の脳神経外科部長を務める。