脳貧血になりやすい人の特徴

ただ、脳貧血の原因として最も多いのは神経調節性失神ではないかと福島医師はみる。以下のセルフチェック項目で確認してほしい

脳貧血予防のためのセルフチェック項目

  • 長時間の立ちっぱなしの仕事をしている
  • 不眠がちである
  • いつも疲労がたまっている感じがする
  • 慢性的な痛みに悩まされている

長時間の立ちっぱなしや痛み、刺激、不眠、疲労、恐怖などの精神的・肉体的ストレス、さらには人混みの中や閉鎖空間などの環境要因が誘因となって、自律神経が刺激されて失神を引き起こす。

「慢性的な疲労感を覚えている」「長期間にわたるストレスにさいなまれている」「不眠で悩んでいる」といった特徴が当てはまる人は、「脳貧血が起きやすいかもしれない」と自覚しておいた方がいいだろう。

子どもによくみられる起立性調整障害とは

その中でも小児に多い起立性調整障害という疾患がある。これは思春期における体の変化・成長に自律神経の働きが追いつけず、交感神経と副交感神経のバランスが崩れて血管系の機能がうまく調節できないことで起きる。

「最近の子供は朝にご飯を食べず、あまり水分も摂(と)らないで学校に来てしまうこともありますが、それでは体内の血液量が少なくなってしまいます。このような場合、午前中に脳貧血が起きるケースが多いです。水分をしっかり摂取するなどの予防策をとるようにしましょう」。

福島医師は、10代における起立性調整障害は不登校につながりかねないと危惧する。脳貧血による立ちくらみやめまいなどの症状が出現し、また朝寝起きが悪く午前中体調がすぐれないため学校を休んでしまうと、場合によっては「なまけ」などと教師にとられかねない。

指導者側にも悪気はないだろうが、そのように指摘されてしまった本人は、自分自身のことを正しく理解してもらえない無力感や孤独感に包まれ、その積み重ねが学校への忌避感へとなる可能性はゼロではない。

そしてそれは大人でも同じ。ストレスや睡眠不足でも自律神経が乱れるため、高頻度で脳貧血特有の症状が出る場合は一度医療機関を受診した方がよいだろう。

脳貧血予防のために摂取しておきたいもの

水分と関連して、血液中の塩分濃度も脳貧血に関わっている。過度の塩分摂取は高血圧や腎臓疾患などにつながることもあり、近年は「減塩」を標榜する食品も増えてきたが、血液中のナトリウム量が極端に少ないと脳貧血を引き起こす可能性がある。

「一般的に減塩が血圧コントロールにはいいですが、少なすぎると循環血液量が減ってしまいます。ナトリウムは循環血液を維持するために大事で、過度に塩分を制限してしまうと脳貧血の原因になります。何事においてもバランスは重要で、特に食事において『極端すぎ』はよくありません」

これから暑くなる夏場を迎えるにあたり、汗から体内のナトリウムが排出されてしまう。水分補給をする際に通常の水だけを飲んでいると、脳貧血を招く恐れもある。スポーツドリンクや経口補水液などのように、一定量のナトリウムを含有したもので水分を補うようにしよう。

※写真と本文は関係ありません