興味深いことに、味木医師はものもらいになりやすい季節やライフスタイルがあることも教えてくれた。実はものもらいが増えやすいのは5~7月で、ちょうど今の時期なのだ。

「寒い時期から暑い時期になると脂汗をかくようになり脂の分泌も多くなるし、まつげやまぶたで常在菌も増えます。一方で、寒い時期にはマイボーム腺の出口が閉じ気味なのですが、徐々に暖かくなるこの時期にその出口がしっかりと開いて脂の排出が滞りなくできるかというと、そうでもないんですね。脂や菌の増えやすさに対し、脂の出口の排出のしやすさが追いついていないということなんです」。

5~6月は、味木医師のクリニックに訪れる全患者の約2割がものもらいだという。5人に1人が主訴とするならば、確かに「ものもらいシーズン」と呼べるかもしれない。

油脂たっぷりの食べ物はNG

続いてものもらいを招きやすいライフスタイルの一つとして、「脂の多い食生活」を挙げてくれた。

にきびと同様でアイスクリームやバター、チョコレートなどを好んで食べているとできやすいですね。納豆や魚、野菜などをしっかり食べていない人もなりやすい。総じて、脂の出口が詰まりやすくなることが原因です」と味木医師は解説。さらに嗜好(しこう)面でいえば、たばこを吸っている人もものもらいができやすいという。

実際、アイスクリームやチョコレートなどを好んで食べて、何度もものもらいをつくってくる子供も少なくない。そういう際、味木医師はクレンジング用のシートでまつ毛の根元をきれいにするよう、その子の親に指導する。この方法でものもらいにならなくなった子供もいるという。

大人で何度もできるようならば、食生活に気をつけながら、クレンジングオイルでマッサージするのが効果的。指の腹部分がまつ毛に当たっている状態で横に10回、縦に10回とぐるぐる回し、その後に石けんできれいに洗おう。半年ほど続けるとまつ毛の根元の皮脂腺がきれいになり、ものもらいになりにくくなる。

「目のにきび」ということで、基本は放置しておいても問題がないものもらい。ただ麦粒腫の場合、まれに炎症が拡大し、まぶた全体や眼球周囲にまでうみがたまり重症化することも。ちょうど今の時期は「ものもらいシーズン」ということもあるため、ものもらいになりたくない人はひとまず油脂たっぷりの食事を控えるようにしてみよう。

※写真と本文は関係ありません

記事監修: 味木幸(あまき さち)

あまきクリニック院長、慶緑会理事長。広島ノートルダム清心高校在学中に米国へ1年の留学。米国高校卒業後に母校に戻り、母校も卒業。現役で慶應義塾大学医学部入学。同大学卒業後、同大学眼科学教室医局入局。2年間の同大学病院研修の後、国家公務員共済組合連合会 立川病院、亀田総合病院、川崎市立川崎病院・眼科勤務。博士(医学)・眼科専門医取得。医師として痩身や美肌作り、メイクアップまでを医療としてアプローチする。著書も多数あり。