生理にも影響を及ぼす「冷え」
ここからは、体を温めることがなぜ重要かという点について深めていきたい。忙しく働きながら将来の妊娠も視野に入れている20~30代の女性にとって、冷えは大敵だ。冷えは、月経前症候群(PMS)や生理痛、頭痛や肩こり、免疫力の低下(風邪)、むくみ、不妊など、さまざまな不調を引き起こすといわれている。
石原医師が生姜を食べ始めたきっかけは、12年前までさかのぼる。現在のスリムで美しい体形からは想像がつかないが、当時は今より10キロ近く太っていたという。
「忙しさから生活が不規則になり、太っていただけでなく、体調不良が続いて生理も止まってしまいました。将来妊娠できないのでは、という不安を感じていましたね」。
そこで心機一転、食生活に体を温める食材を取り入れ、栄養バランスの良い食事に気を使うようになった。生活面においても、腹巻きをしてお腹を冷やさない、湯船につかる、ランニングなどの適度な運動をするといった、体を冷やさない習慣を実践したとのこと。
体の変化に気づいたのは、3カ月くらいがたったころ。体重が落ちたほか、体調もよくなり、生理も6カ月ほどで再開したという。
「今も食事には気をつけ、腹巻きや運動も継続していますね。体が冷えない食生活や行動は、習慣になってしまえばつらく感じないと思いますよ」。
石原医師が勤めるクリニックでは、"体を温めて治す"という東洋医学の考えにもとづき、食事の栄養バランスや運動の指導をするとともに、漢方なども処方している。
低体温の子供も増えている
冷えに悩むのは成人女性だけでない。近年、平熱が36度に満たない低体温の子供が増えていることを石原医師は指摘する。
その原因として考えられるのが、「妊娠中の食事」や「離乳食」。2児の母親でもある石原医師は、「お母さんが食べたもので胎児や乳児の体はつくられます。離乳食で何を食べさせるかも大切。手軽だからだとバナナばかり食べさせている方も多いですが、バナナは東洋医学では"陰性食品"(体を冷やす食品)といわれ、低体温の原因になってしまいます。また、体温を上げるためには運動も欠かせません。お子さんの低体温が気になる方は、食生活と運動を見直してみてください」と語った。
生理トラブルをはじめ、さまざまな不調の原因になりうる「冷え」。石原医師の実体験をうかがい、冷え体質を改善するためには、生姜などの体を温める食品を積極的に摂ることが大切だと痛感した。ただ、健康のためであっても無理に取り入れるとストレスを感じかねない。自宅で好みの調理方法を試したり、おいしい外食メニューを探したりと、楽しみながら自分に合った取り入れ方を見つけられると良いだろう。