流通における4輪車輸送の最小単位は、軽ワンボックスカーや軽トラなどの軽商用車。水道設備や電気設備などの修理・整備業でも使われることが多く、いわば“最小単位の事業所”ともいえる。わりと街で見かけることが多い馴染み深い車体だが、減少傾向が続いている。それを受けて2012年にスバルが軽商用車の生産から撤退し、2013年には三菱自動車も退いた。OEM調達により軽商用車を販売しているメーカーはあるが、生産ということになると、事実上、スズキ、ダイハツ、ホンダの3社に絞られる。

積載量の追求よりも「人の働きやすさ」を

ダイハツ「ハイゼット キャディー」。118万8,000円~

そんな軽商用車に新しいニーズを生み出そうとダイハツが投入したのが「ハイゼット キャディー」だ。同車が狙うニーズとは「人の働きやすさ」。具体的にいうと、これまで積載量ばかりが優先されてきた軽商用車から、静粛性・運転のしやすさといった快適性、未然に事故を防ぐ安全性といった部分に焦点を当てた軽商用車へ、ということだ。

ダイハツによる軽商用車ユーザーへのヒアリングによると、積載量よりも「室内の静かさ」「(運転席の)足もとの広さ」「安全性」を重視する傾向が強かったという。それの表れか、軽商用車よりも居住性・安全性に優れた軽乗用車を購入し、それを商用に充てているケースが目立ってきたことも付け加えた。

さらに、社会変動にともなう就労層の変化も同車を投入した理由だ。女性活躍推進法が施行され、女性が社会で働くシーンの増加が見込まれる。さらには高齢化社会になり、定年後も何かしらの事業を続けるシニア層の増加も容易に予測できる。ハイゼット キャディーは、こうした層のニーズにも応える。