今年もAppleの開発者会議「Worldwide Developers Conference (WWDC16)」が米カリフォルニア州サンフランシスコ市内のMoscone Center Westで6月13日より開催される。ただ例年とは異なり、イベントのキックオフとなる基調講演のみ別会場の「Bill Graham Civic Auditorium」で行われるのは以前にも報じた通りだ。また、Appleのサイト上にはすでにイベント中継用の特設ページができており、現地時間の6月13日午前10時(日本時間で14日午前2時)よりOS X、iOS、Apple TVの各デバイスのSafariブラウザで基調講演の模様がリアルタイムで閲覧できる。Windows 10のEdgeから視聴可能なのも前回のスペシャルイベント同様だ。今回は、このWWDC16の基調講演で発表が期待されるトピックを紹介していく。

WWDC16の特設ページ

新ハードウェアは発表されるのか否か

いきなり核心から入るが、おそらく多くのユーザーが期待しているのは「WWDCで新しいハードウェア(特にMacBookの新製品)が発表されるのか」という部分だろう。以前のレポートでも触れているが、ここ最近のWWDCではAppleはソフトウェア関連の発表に注力しており、新ハードウェアの発表は行われていない。先日6月8日、AppleのPhil Schiller氏は一部報道関係者にApp Storeのビジネスモデル変更についての計画を公開しているが、本来はWWDCで発表されるようなアプリ開発者向けの内容が直前に公開されること自体が異例であり、2つの意図があると推察される。1つはWWDC前に重要な情報を共有することで開発者からの意見を広く募って議論を深めたいというもの。もう1つは「App Store以外にWWDCで話すべき内容が盛りだくさんで、その切り出しを行った」ということだ。つまり、WWDCではハードウェアの発表に時間を割く余裕はほとんどない事実を反映したものである可能性がある。

事実、先月5月末の段階でKGI SecuritiesのアナリストMing-Chi Kuo氏など複数の情報筋が「有機ELタッチバーを搭載してインタフェースをUSB-C/Thunderbolt 3に統一した新型MacBook Proが第4四半期登場」と報じており、すでにMacBook Airのサイレントアップデートが完了した直後であることを考えれば。WWDCのタイミングで新製品が発表される可能性は低いといえるだろう。この新型MacBook Proについて、噂を基にモデリング画像を起こしたものがMartin Hajek氏のサイトに掲載されているので、興味ある方は実際に覗いて想像を膨らませてみるのもいいだろう。

現行のMacBook Pro

だが6月8日になり、Macお宝鑑定団が中国の信頼できるサプライヤー筋の情報としてMacBook AirとMacBook Proの6月中の新製品発表を報じると(実際の出荷は8月以降)、周辺情報を巡り混乱が広がっている。同サイトでは「WWDCで発表されるかは不明」としているものの、大幅に製品がリニューアルされるMacBook Proがサイレントアップデートになる可能性は低く、6月中に2回もAppleが発表会を行う可能性は低いため、仮に6月発表であればWWDC中に何らかの形で触れなければならないだろう。同サイトは信頼性が高いとしながらも、9 to 5 Macは「WWDC中に新ハードウェアが発表される可能性は低い」としている。筆者もWWDC中の発表はないと考えている派だ。

また、もしこのタイミングでMacBook製品のリフレッシュが行われた場合、今秋登場が見込まれるIntelの第7世代Coreプロセッサの「Kaby Lake」は同ラインナップで採用される可能性は低い。Kaby Lakeは8~9月中の量産出荷が見込まれているため、同プロセッサ搭載製品の登場は今年9月以降登場になるとみられる。Kaby Lakeの正式発表は8月中旬のIDF (Intel Developer Forum)または9月初旬のIFAと考えられており、これらMacBookが初夏の段階で登場した場合、現行世代のプロセッサが採用されることになるだろう。

なお、MacBook以外のMac製品やApple Watch、周辺機器など、ハードウェア関連全般の新製品はすべてWWDCで発表される可能性は低いとみられている。あくまで開発者向けのイベントなので、ソフトウェアでの新機能に注目すべきだろう。