LINEは10日、7月15日に東京証券取引所に上場すると発表した。併せてニューヨーク証券取引所へも、関係当局の許認可等を得ることを条件として、現地7月14日に上場する予定。市場から資金を調達し、アジア市場で優位性を確保し、積極的なグローバル展開を図る方針だ。ここまで破竹の勢いで成長し、上場までこぎつけたLINE。だが、メッセージ系アプリを巡る競争は熾烈を極めており、前途洋洋とはいいづらい。高いハードルがいくつも待ち受けているのだ。
2億のユーザーと幅広いサービス
LINEが運営する「LINE」は、2011年6月に誕生したメッセンジャーアプリ。当初はチャット機能のみのアプリだったが、同年10月に無料通話とスタンプ機能を追加。スタンプコミュニケーションの手軽さが受け、リリースから1年1カ月経過後の2012年7月に5000万ユーザーを獲得、翌年1月18日に1億ユーザーに達した。現在、全世界の月間アクティブユーザー数は約2億1840万人となっている。
LINEはユーザーの獲得だけでなく、サービス面も大きく拡充してきた。転機となったのは2014年。戦略発表会で"LIFE"をテーマにビジネス展開を図るとアナウンスしてからだ。
そこでは、決済サービスの「LINE Pay」、タクシー配車サービスの「LINE TAXI」、デジタルコンテンツの「LINEマンガ」「LINE MUSIC」などが発表された。その後も同社はサービスを拡充、アルバイト求人情報サービスの「LINEバイト」などをスタート。ユーザー数とサービスの拡大により、同社は年々、業績を大きく伸ばしている。2015年通期の連結売上は2013年比で約3倍の1207億円となった。
さらに、今年3月には、「Closing the distance」というミッションを発表。LINEアプリを基点に、オンライン・オフラインを問わず、人、情報、サービス、企業、ブランドなどをシームレスにつなげ、LINEで完結するスマートポータルの実現を目指すという新たな方向性も示されている。
もはや当初のように人と人をつなげるメッセージとしての機能にとどまらず、LINEアプリを軸にしたLINE経済圏が誕生している状況だ。今夏には国内においてMVNO(仮想移動体通信事業者)事業も手がけ、経済圏はより強固なものになることが予測される。
まさに破竹の勢いで成長を続けてきたLINE。東証への上場、市場から資金を調達することで、その成長にさらにブーストをかけることができそうだが、取り巻く環境を見るとそうも簡単にいきそうにないのだ。