アプリストアでの競争とユーザーの変化
アップルはグーグルとスマートフォンアプリのマーケットで競合している。デバイス全体の数はグーグルのAndroidが85%程度を占め、アップルのiPhoneを圧倒している。アプリストアのアプリ数についても、App Storeが約160万本、Google Playストアが約170万本と、グーグルがアップルを追い抜いたところだ。
一方で、アプリストアから得られる収益は、アップルが大幅に優位性を保ってきた。アップアニーによると、2016年第1四半期において、App Storeの収益はGoogle Playよりも90%多かったと分析する。とはいえ、App Storeの優位性が圧倒的だったというのは、すでに過去の話だ。
スマートフォンが普及するにつれて、積極的にアプリに購入するユーザーがすべてではなくなってきた。価格の高いアプリに一度にお金を使うよりも、普段使うサービスをアプリ経由で課金したい。そんなニーズに対して、Google Playストアは敏感に答えてきた。
iPhoneは先進国で強く、その結果アプリストアでの収益も大きかったが、グーグルがGoogle Playストアからの収益を伸ばしているということは、先進国内外でより安いスマートフォンを利用しているユーザーからの収益の芽が出始めたことを示唆する。そのGoogle Playストアが積極的に取り組んできたのが、サブスクリプション型の課金モデルだった。
アプリストアとして先進さを見せつけるGoogle
グーグルで、ゲーム・アプリケーションディレクターを務めるパニマ・コチカー氏にインタビューすると、競争力を高める施策に取り組んできたという。「Google Playストアは2015年10月にリニューアルしました。ストアとアプリでは、マテリアルデザインを横断的に採用して体験性を高めています。また、支払い方法をより簡単にするプラットホームを整備してきました。アプリ開発者がアプリの開発とビジネスモデル作りに注力すべきだと考えるからです」(コチカー氏)。
Google Playストアでは、日本のケータイコンテンツの事例を参考にし、ダウンロード課金、アプリ内課金に加えて、サブスクリプション型の課金の柔軟性高く整備してきた。
その理由について、コチカー氏は2点を指摘する。「例えば、小さい子供が知育アプリで遊ぶ際、課金しなければ先に進めない、という制限を設けるべきではありません。ユーザー体験を制限しないために、定期購読は有効です。また開発者は、ユーザーと継続的で長い関係を築きながらビジネスを持続的に行うことが重要です」(同氏)。
金額と期間において柔軟性も高い。「例えば雑誌のアプリであれば、100ドルの年間購読がふさわしいでしょう。その一方で、デートアプリの場合、出会いがないのに年中課金されるのはおかしい。例えば3カ月、6カ月という期間を設けた課金で集中してもらうほうが、ユーザーの満足度は高まるはずです」(同氏)。
グーグルは、アップルを追いかける立場として、開発者のニーズやビジネスの継続性をサポートする姿勢を強く打ち出している。そこには、かつての日本のケータイコンテンツのノウハウもふんだんに取り入れているほか、アプリ開発者のビジネスのサポートや海外進出についても、アドバイスを行っているのだ。