VRは年末の目玉に?

――現行機種について、総務省のタスクフォースの影響はありましたか? また今後の影響についてどうお考えでしょうか。

玉野社長 実質0円が事実上禁止された2月と1月を比較すると、売り上げは3~4割下がりました。また3月も機種変更や新規契約が集中する月ですが、思ったほど売り上げが上がっていません。これはタスクフォースの影響もあると思いますが、ユーザーが長く楽しめる端末を買おうとしているのではないかと考えています。

NTTドコモさんが先日、これから新機種のリリースを1年周期くらいにすると発表していましたが、確かに半年で次々と新製品が登場するというのは間隔が短すぎるので、1年の間に少しずつずらしながら様々な機種を出していきたいと考えています。

――先ほどVRについて少し触れられましたが、「HTC Vive」の日本での展開の予定についてお聞かせください。

玉野社長 Viveについては、まさに今日(6月1日)、予約販売サイトに日本語ページが公開されたところです。これまで英語のページ、ドル建てで販売していましたが、日本語・円で購入できます。日本ではどのように販売したら一番スムーズにいけるか、現在検討している最中です。

Viveは家電業界が3Dテレビで失敗したように、「思ったよりショボい」とがっかりされたくないので、できるかぎりハイエンドな仕様で登場させました。他社からもVR HMDは登場していますが、Viveを体験された方からは一様に「Viveを見てVRの世界が変わった」というお声をいただいています。HMDだけでなくレーザーマーカーを使うことでミリ単位の動きを細くできるため、VR酔いがなくなるんです。

「HTC Vive」。視点感知機能を備えたVRHMD。専用のコントローラーが用意されており、これを併用することで、部屋の中を移動しながら遊ぶことができる

日本語・円で購入可能だ

ハードウェアだけを用意してもいけないので、HTCから開発キットを提供して、ローンチに向けてコンテンツを充実させています。4月には40個くらいしかなかったコンテンツが、ゲーム中心ですが5月には200を超えてきています。日本のゲームベンダーさんにはVive向けのVRコンテンツをどんどん出してもらえるよう期待しています。今年の年末ごろには日本製コンテンツが登場してくるのではないでしょうか。

また、VRはゲーム以外に博物館や美術館、旅行会社、産業界、不動産業界、医療など、幅広い分野から注目を集めています。こうした分野でも採用してもらえるよう働きかけていきます。

ViveはハイエンドということでハイスペックなPCが必要ですが、我々はモバイルの会社ですから、スマートフォンを核にすることは忘れていません。PC用のVRコンテンツをモバイル向けにポーティングできる仕組みを用意していきたいです。

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筆者も発表会でHTC 10に触れてきたが、玉野社長が語る通り、真面目で丁寧な造りが好感触の端末だった。Nexusシリーズに匹敵するシンプルさといい、オーディオ・カメラに対するこだわりといい、今夏の隠れた目玉端末のひとつと言っていいかもしれない。昨年まではテストケース、これからHTC 10の性能を低価格機に下ろしつつ展開していくというHTCの端末戦略には今後も注目したい。