よみうりランドに「テーマ」をもたらしたグッジョバ!!

グッジョバ!!は企業とのコラボレーションで生まれた新エリア。楽しみながらモノづくりを学べる数々のアトラクションが売り物だ。立ち上げ当初からグッジョバ!!の新設計画に携わってきた遊園地事業本部 副本部長の曽原俊雄氏によると、施設拡張が決まった背景には、よみうりランドに「テーマ」を持たせたいという想いがあったという。

総面積約2.4万平方メートルのエリアに自動車、食品、ファッション、文具の4業種からなる「factory」を備えるグッジョバ!!。企業のノウハウを活用し、様々なアトラクションを整備した。身近な業種を選んだのがポイントだという

昔と今で来園者のマインドに変化はあるかと聞いてみると、曽原氏はあくまで私見と断ったうえで、近年の来園者、特に子供連れのファミリー客からは、楽しみ以外のプラスアルファを期待しているような感じを受けるとの印象を語ってくれた。ファミリー層が遊園地に求めているのは、「楽しさ」に加え、子供の「成長」を促すような要素ではないかと同氏は分析する。このように来園者のマインドが変化しているとすれば、遊園地は楽しいだけの場所から、何らかの付加価値を持つ場所へと変わる必要がでてくる。よみうりランドがテーマの獲得を目指した理由も、この辺りにあるのかもしれない。

3世代がターゲットのテーマ設定

よみうりランドが新エリアのテーマを模索していたとき、来園者の中で目立つようになっていたのがシニア層だ。施設拡張の検討が始まった7年前は、団塊の世代が定年退職の年齢を迎えていたこともあり、孫を連れて訪れる60代以上の来園者が増えていたのだ。この客層を踏まえ、3世代をターゲットに据えて設定したのが「モノづくり」というテーマだった。

モノづくりというテーマであれば、子供と祖父母が共有しやすいうえ、親世代も巻き込むことができるというのがよみうりランドの見立てだ。共有しやすいテーマがあれば、家族・友人間の会話が増えるという効果も期待できる。モノづくりと並ぶグッジョバ!!のテーマは、「家族・友人同士の絆」だと曽原氏は語る。

日産自動車がサポート企業を務める「CAR factory」(写真左)は、車の製造工程を“体感”できる計4機種のアトラクションを備える。日清食品と組む「FOOD factory」(写真右)では、パッケージや具材を選んでマイU.F.O.を作るワークショップが大人気だという

「FASHION factory」(写真左)のパートナー企業はワールドと島精機製作所。遊園地のアトラクションといえば原色で塗装されているイメージだが、同ファクトリーの屋内型コースター「スピンランウェイ」にはニット柄の装飾が施されている。コクヨと組んだ「BUNGU factory」(写真右)で人気を集めるのは、オリジナルのキャンパスノートを作れるワークショップ。早いときには開園後15分で1日分の整理券が捌けることもある

あくまで遊園地、教える雰囲気は排除

新エリアを整備するうえで、曽原氏らが気をつけたのは「教える」という雰囲気を出しすぎないことだった。よみうりランドの立ち位置は「あくまで遊園地」(同氏)であるため、楽しみながら自然にモノづくりについて学べる施設作りを心掛けたという。

実際のところ、15種類のアトラクションを備えるグッジョバ!!は「遊園地」の延長線上にある新エリアだ。グッジョバ!!開業により、よみうりランドの総アトラクション数は従来の28種類から43種類へと1.5倍に拡大。グッジョバ!!を別料金にして、既存遊園地エリアの料金は据え置くという方法もあったわけだが、乗り物の数が大幅に増えたことを考えれば、グッジョバ!!開業によるよみうりランド全体の値上げも納得できない話ではない。

このような背景で誕生した新エリアだが、気になるのは開業後の客入りだ。