このところ値上げが相次ぐテーマパーク・遊園地業界だが、なかでも大胆な価格設定を行ったのがよみうりランドだ。約100億円を投じて新エリア「グッジョバ!!」を整備し、ワンデーパスの料金を従来の4,000円から5,400円に引き上げた。イベントなどのソフト面を強化し、来園者数を急激に伸ばしてきたよみうりランドが、「モノづくり」という異色のテーマ設定で新エリアを整備した狙いとは。
チケットの高価格化が進むテーマパーク業界
テーマパーク・遊園地業界ではチケットの高価格化が進んでいる。東京ディズニーランド(TDL)とユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は、互いの価格設定を牽制するかのように小刻みな値上げを繰り返してきており、現在は両者ともワンデーパスを7,400円に設定している。USJ開業当時、両社のワンデーパスは5,500円で並んでいた。
よみうりランドが大幅な料金改定を行ったのは実に20数年ぶりのこと。この間、消費増税に伴いワンデーパスを3,900円から4,000円に値上げしたことはあったが、基本的には料金据え置き路線を守ってきた。他の施設がハードへの投資とチケットの値上げを進めるなか、よみうりランドが注力してきたのはソフト面の強化。イベントを通年にわたって仕掛けることで、来園者数の急増を達成した経緯がある。
冬の時代をイベント攻勢で脱出
よみうりランドが施設の拡張を考え始めた7年前は、年間来園者数が60~70万人のレベルで横ばいを続ける冬の時代だった。ハードへの大型投資を検討するにあたり、重要だったのは遊園地としての地盤固め。リピーターを含めた多くの来園者を獲得しておかなければ、大型投資と料金改定の影響で来園者数が減少に転じるというシナリオも考えられる状況だったわけだ。
そこでよみうりランドが注力したのが、通年にわたるイベントの充実だ。代表的なところでは、冬のイルミネーションイベント「ジュエルミネーション」やゴールデンウィークに開催する「全国ご当地大グルメ祭」などが人気を集める。
夏には、放水キャノンやダンスショーなどのイベントを詰め込んだプール営業が恒例化している。よみうりランドのスタッフが中心となって実施するシンクロショーは、今やファンが付くほどの人気コンテンツに成長。プール営業の最終日、プール自体の営業終了後に行うシーズン最後の公演には、別れを惜しむ多くの観客が集まるという。人気イベントはリピーターを獲得し、年間来園者数を押し上げた。