次に登壇したNadella氏は、自社が進める3つの"野心"を最初に掲げた。
この3つの野心とは、クラウドとのさらなる連携、クラウドプロダクティビティー(生産性)とプロセス(手順)の再定義、パーソナルコンピューティングの創造とユニバーサルプラットフォームの推進だ。この3つは、Nadella氏のビジョンとして、昨年のde:code 2015で日本マイクロソフト 代表執行役 社長の平野拓也氏が説明している(参考記事)。
de:code自体が開発者向けカンファレンスということもあって、発するテーマは開発者向けものが中心だったが、我々の取り巻く環境と開発スタイルの変化がプラットフォームに影響を与え、Nadella氏は「あらゆる企業がデジタルカンパニーに変わろうとしている」とした。
その事例として、トヨタ自動車の新テレマティックサービスを取り上げ、「車はデジタル時代の製品になろうとしている」と説明。その他にもヒートマップ分析やユーザー動画分析でトルコや中国で成功を収めている新興企業のUSERDIVEや、SkypeとSkype Translatorを使って料理の注文をスマートフォンから簡単に行うソリューションを提供するPUTMENUなどを紹介しつつ、「シームレスな技術革新で生活の革新を実現したい」と語った。
また、Nadella氏は会話プラットフォームとBotで実現する未来についても「将来的にはFacebookやLINEとも連携する」と述べつつ、既に日本で実証実験を行っている「りんな」の話題に触れた。
りんなは、日本マイクロソフトが女子高生をイメージして開発した人工知能で、LINEやTwitterを展開している。LINEアカウントのユーザー数(フォロワー数)は既に340万人を突破し、感情的な会話を通じて心がつながるビジネスにつなげていくと説明した。このように未来を築く技術について、「90年代にWebというインターネット技術が広まっていた時代を思い返し、ワクワクする」(Nadella氏)という。
日本のユーザーに対するコメントとして、Nadella氏は「我々は4度目の産業革命を迎えている。開発者は経済予測や環境変化にチャレンジすることで、社会を活性化できる」と鼓舞しつつ、Microsoftは「ともだち」というコンセプトでコンピューター教育分野にも大幅にコミットしていることをアピール。「デジタル技術によって(今後ICT産業にコミットしていく)学生や開発者が社会を変えられることは素晴らしい」と話を締めくくった。
この他にもMicrosoft CVP & Chief Evangelist Steve Guggenheimer氏によるスピーチも興味深いものだったが、主に開発者向けの内容だったので今回は割愛する。また、日本マイクロソフト デベロッパーエクスペリエンス&エバンジェリズム統括本部 クライアントテクノロジー推進部 エバンジェリストの高橋忍氏や、Webエバンジェリストの井上章氏によるデモンストレーション、Microsoft Senior Technical Evangelist DevOps ITProの牛尾剛氏による開発者へのアピールなど、de:code 2016は過去に類を見ないお祭り騒ぎ的な内容が印象的だった。
日本マイクロソフトの高橋忍氏(左)と井上章氏(右)。インサイダープレビューで公開されているWindows 10の新機能などを紹介 |
MicrosoftのDevOpsエバンジェリスト牛尾剛氏は、DevOpsの紹介に先駆け壇上でダンスを披露 |
阿久津良和(Cactus)