左から第一勧業信用組合 理事長 新田信行氏、NTTドコモ 法人ビジネス本部ビジネス開発担当課長 福岡朗氏、高木ビル 専務取締役 高木秀邦氏

この保証金半額くんというシステムを核に、ベンチャー支援を行うさまざまな企業がプロジェクトに参加していることがポイントだ。

ちなみに、現在プロジェクトに賛同し、参加している企業は以下のとおり。第一勧業信用組合、NTTドコモ、OBC、協立情報通信、E3、弁護士ドットコムなどだ。

たとえば第一勧業信用組合の場合、信用組合として金融面でベンチャーをサポートする。NTTドコモ場合、自由なワークスタイルを実現できるようにモバイルソリューションを提供する。E3の場合、机やキャビネット、資料棚といった什器を整えるといった具合だ。

事務所や店舗をオープンする際、テナントがそれぞれ依頼しなくてはならない手間を軽減してくれるのだ。

ビルオーナー側のメリット

2014年に竣工した「虎ノ門高木ビル」。東日本大震災時に着工されたため、耐震性にこだわっている

同プロジェクトは、ビルオーナー側にもメリットがある。まず、入居するテナントの財務審査を日本商業不動産保証が行ってくれること。第三者が審査を行ってくれることは、中小のビルオーナーにとって心強い。当然、テナントの家賃不払いや原状回復費の不足に直面しても保証してくれるので安心だ。

そして、保証金を減額することによってほかのビルに比べ競争力が高まり、空室率の低減が期待できる。保証金がほかのビルに比べ低い分、家賃を上げても競争力を失わないということも考えられる。

同プロジェクトに賛同するビルオーナー会社、高木ビルの専務取締役 高木秀邦氏は、「大規模ビル開発が注目される中、中小のオフィスビルがテナントに対しいかに価値を提供できるか。このプロジェクトはその価値創造に最適」と、期待をかける。

事業が軌道に乗れば、急速に成長することが多いベンチャー。事業所規模拡大の際に、その都度莫大な保証金を納めるより、引っ越し時の経費を抑え、その分、事業拡大や新規事業に費用を充てたほうが成長しやすい。プロジェクト名に“出世ビル”と名付けられているのもそうした理由からだろう。