――Vivaldiのビジネスモデルは、検索サービスとの提携ですよね。

von Tetzchner氏: 検索パートナーとして、Google、Bing、DuckDuckGoなどと提携しており、ユーザーはこの中から使いたいサービスを選択できます。お気に入りも同じで、国ごとに人気のあるお気に入りを用意しており、ユーザーは使いたいと思うものを利用できます。 

Vivaldiがブレークイーブン(損益分岐点)になるには、数百万人のユーザーが必要です。1ユーザーあたりの売り上げ、ユーザー数の2つの要素があり、これに従業員の数を考慮するわけですが、Operaのときは約1ユーザー年1ドルでした。これがベンチマークになると思います。いまの組織の規模なら月間300万~500万のアクティブユーザーが妥当なところでしょうか。そこまで達した後は、拡大、成長でき、黒字に転換できます。

このモデルはOperaで実証済みで、すでにVivaldiでも売り上げが出始めています。我々は提携にあたって必ず売上をシェアするようにしています。当然、ユーザーが利用したいと思うサービスを提供しているところと組むようにしています。とてもシンプルなモデルです。

Operaではこのモデルに加えて、OEMなどもありました。任天堂やソニーなどと協業でき、とても楽しい経験でした。ですが、ユーザーの満足に直接貢献する現在のビジネスモデルが私は一番好きです。

検索エンジンはBing、DuckDuckGo、Yahoo!、Wikipedia、Googleから選択できる(バージョン1.1.453.59時)

――現在のダウンロード数、月間のアクティブユーザー数はどのくらいでしょうか?

von Tetzchner氏: これまでのダウンロード数は数百万といったところです。1カ月のアクティブユーザーは100万人を目指しています。

――100万人には、いつ到達する見込みですか?

von Tetzchner氏: そういう風には考えていません。今はとにかく、素晴らしい製品をつくることにフォーカスしています。

我々は何をすべきかわかっています。簡単な作業ではありませんし、ユーザーを一人一人獲得していかなければなりません。ですが、支援を得ることで実現できるものであり、時間の問題だと思っています。

――現在のユーザーのうち、60-70%はOperaユーザーと予想していらっしゃいます。この場合、残りの30-40%はOpera以外のユーザーとなるわけですが、Opera以外のユーザー層にはどうリーチする戦略ですか?

von Tetzchner氏: Chromeからたくさんのユーザーが移行しています。数だけでみると、Operaからの移行よりも多い。移行はFirefoxからもあります。Firefoxは先に、利用が少ない機能の一部を削除すると発表しており、これに対してユーザーからは怒りの声が出ています。

指摘の通り、Vivaldiをスタートした理由はOperaのシンプル化という方向性に対抗するものです。我々は、もっとパーソナルで、もっと機能がたくさんあるブラウザを欲しているユーザーがいるはずだと予想しています。実際にリリースしてみて、我々のメッセージはOperaのユーザー、そしてOpera以外のユーザーと、たくさんの人に共鳴していると実感しています。

Firefox、Chromeなど多くのブラウザはシンプル化の方向にあります。これに対し、ハッピーではないユーザーがかなりいるということです。

――エコシステムはどうでしょう? ブラウザの中には外部の拡張機能エコシステムに力を入れているところもあります。

von Tetzchner氏: Vivaldi 1.0ではChromiumの拡張性と互換性を持たせており、その意味では拡張をカバーしているといえます。将来的にはVivaldiのサイトから拡張をダウンロードするようなことも考えられますが、今すぐに何か計画があるわけではありません。我々は小さな会社で、フォーカスは使い勝手にあります。

Vivaldi 1.0ではChromeの拡張機能と互換性があり、ツール>拡張機能でChromeウェブストアを表示することができる(Chrome用の拡張機能は、非公式ながらテクニカルプレビュー時代から動作していた)