キタ、ミナミと並んで大阪を代表する天王寺・阿倍野地区に、「ビックカメラ あべのキューズモール店」がオープンした。石川智一店長が「ぜひ遊びに来て楽しんでほしい」と語るように、子連れも、ガジェット好きも、そして"本"好きにも楽しい家電量販店となった。

あべのキューズモール3階へ出店。売り場面積は約2,500平方メートル。営業時間は午前10時~午後9時。オープン日は10時開店時点で約800人が並んだという

ビックカメラあべのキューズモール店の石川智一店長

ビックカメラは、ユニクロとコラボした「ビックロ新宿東口店」、シダックスとコラボした「ビックドラッグ シダックス新宿セントラルロード店」など、家電量販店の枠組みに収まらない店舗を出店し、話題となってきた。

そのビックカメラが持つ強みのひとつが、基本のフォーマットを生かしつつ、周辺の環境に合わせて売り場を展開する「柔軟さ」だ。 「ビックカメラ 赤坂見附駅店」以来、3年ぶりの新店となる今回の「ビックカメラ あべのキューズモール店」は、そうした強みを生かして誕生した。

あべのキューズモール店の特長は3つだ。

  • 書籍と家電の新たな出会い
  • ドローンやVRなど話題のガジェットで遊べる
  • ダブルでポイントが貯まる

書籍と家電の新たな出会い、販売スタッフが独自にセレクト

ビックカメラでは、店舗によってカメラコーナーに写真集や撮り方解説書を展示したり、キッチン家電コーナーにレシピ本を並べたりするなど、家電と書籍のコラボを試みている。しかし、あべのキューズモール店では、書籍セレクトの"深さ"が一味違う。

たとえば、炊飯器と一緒に並べられているのは「男の子がよろこぶお弁当」といったライトなものから、「日本の農林水産業」などちょっと硬めの本も置かれている。

調理家電とあわせてオススメのレシピ本などを配置

調理家電コーナーの本棚。お米の上手な炊き方に関する本や、話題の本が並ぶ

店長の話に出てきた炊飯器売り場。農業に関する本は印象的だ

オーディオ売り場にある書籍コーナー。クラシック音楽、映画音楽、ビートルズなど幅広く取り揃えている

テレビ売り場は最上段を壁掛けにし角度をつけた。これにより画面が反射せずに商品をみることができる

テレビ売り場の本棚には片付けや住まいに関する本が並ぶ。素敵なリビングでゆっくり映像を楽しみたくなる

石川店長は、書籍を取り扱う2つの狙いを説明する。

■よりお客さまにあった商品のご提案
「販売スタッフの知識に、プラスアルファとして書籍があることでよりお客さまに合った商品をご提案できると考えています」(石川店長)

■幅広いお客さまが来店するきっかけにする
「書店に農業の本を目当てに行く人はそれほど多くないかもしれません。しかし、炊飯器の横に農業の本があれば、興味を持ってちょっと手に取ってみようという思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

同様にゲームであっても、そのゲーム会社を起業した人の本を読み、会社を興した思いや開発背景を知った上でゲームをすると、ゲームに対する思い入れも変わってくるはずです。

商品の横に書籍があることで、より商品を楽しめ、さらに、"ビックカメラに行けば面白い本がみつかるかもしれない"、"面白い時間を過ごせるかもしれない"と思っていただければ、幅広いお客さまが来てくださるきっかけになるのではないかと考え、書籍の売り場を広げました」(石川店長)

本棚では小物家電と書籍を並べるなど変化をつけている。各売り場に本棚があるので見比べるのも楽しい

空気清浄機やエアコン売り場の本棚ではインテリアに関する本が多い

店内の奥には雑誌などを扱うコーナーが配置されている

書籍のセレクトは、売り場責任者が行っている。

「置かれている書籍を見ると、このコーナーになぜこの本があるのだろうと不思議に感じるかもしれません。だからこそ、予期せぬ出会いが生まれ、楽しんでいただけると期待しています」と石川店長は話す。

また、書籍を扱うことで、販売スタッフは商品のみにフォーカスした知識だけでなく、書籍も含めたより広い知識を持つ必要があると続ける。

「お客さまにオススメする本は販売スタッフが熟読し、独自に深掘りすることが必要だと思います。それが商品の提案・接客にも生かせると考えています」(石川店長)

"知識の沼"のようなマニアックなセレクト書籍だけでなく、話題の本や漫画雑誌、ファッション誌なども扱っているので、こちらも要チェックだ。

玩具コーナーの本棚では玩具と一緒に子供向けの本をセレクト

玩具のほか、離乳食用の食器など取り扱い商品の幅が広い

ゲームコーナーの本棚では任天堂に関する本を集めた