東京に招致できたまではよかったが、「新競技場のコスト問題」「エンブレムの盗作疑惑」「コンサル料の闇」などなど、次々と波乱が巻き起こる東京2020五輪大会。せめて競技そのものは公正でクリーンなものにして、さわやかに観戦できるようにしていただきたい。とはいえ、フィギュアスケートのように「ん!?」と思ってしまうような採点が出されることが少なくない。こちらは“ずぶの素人”なので100%採点者が正しいことはわかってはいるが、やはり何かしらの明確な基準がほしいものだ。

メダル候補の白井選手も注目

公益社団法人 日本体操協会と富士通、富士通研究所は、その明確な基準となりそうな採点支援技術の共同研究について発表した。その研究とは“3Dセンシング”により競技者の動きを立体的に捉え、ICTを駆使して採点を算出するというもの。まずは体操競技を対象に技術開発・技術実証を行い、2020年の東京五輪で活用したい考えだ。

日本体操協会 会長 仁木英徳氏は「採点スポーツである体操競技では公平かつ正確にジャッジしなくてはならない。だが、現在は超人的なレベルに競技が発展。目視だけでは限界があるので最新テクノロジーを活用したい」と、今回の研究に期待を寄せる。

日本体操協会 会長 仁木英徳氏

国際体操連盟 理事 渡辺守成氏

国際体操連盟 理事 渡辺守成氏も「昨年10月に富士通のオリンピック対策室で“何かできないか?”と発言したのがきっかけ。わずか半年あまりで記者発表にこぎ着けたのはすごいこと」と前置きし、「競技の採点だけでなく、指導者・競技者がワザを研究・研磨するのに非常に役立つと思う。観客サイドからみても『今、どんなワザを繰り出したのか』が確認しやすくなり、わかりにくかった体操競技への理解が深まる。体操競技の人気上昇につなげたい」と語った。

ビデオメッセージで登場した白井選手

さらに「2020年までは日本だけで活用し、選手育成に役立てたい。15個ものメダル獲得を予定しているので(笑)」と、冗談を交じえながら3Dセンシングによる採点システムに対する期待を打ち明けた。

また、メダルが期待される白井健三選手もビデオメッセージで登場。「自分のパフォーマンスがうまくいったときといかなかったときを比べ、指標づくりができます」と話した。余談だが、前出の渡辺理事は「白井選手は“4回転ひねり”から“5回転”に挑戦している。5回転ともなると目視で確認するのは非常に困難」と、いかに体操競技の進歩がめざましいかを強調した。