放置しておいても自然治癒で症状が治まる充血だが、見た目が美しくないためできれば早く治したいところだ。そういう場合は、点眼がお勧めだと味木医師は解説する。

「涙液に近い性質を持った人工涙液型の点眼剤や、ビタミン剤入りのドライアイ用点眼剤(抗アレルギー剤入りならなおよい)を何度か目にさすだけで症状が治まることがあります」。

涙液(体液)に似たものに生理食塩水があるが、この生理食塩水も充血には効果的だ。これまでの研究で、細菌性結膜炎に生理食塩水を点眼するだけで、かなりの菌が死滅することもわかっているという。元来、私たちの体には充血を自然に治癒させる力が備わっているため、生理食塩水がその治癒力を「後押し」するようなイメージだ。

「冷やし点眼剤」が予防にイイ!

さらに充血の"重症化"を防ぐため、目の炎症部分にひんやりとした目薬をさすことも効果的。そのために重要なカギとなるのが冷蔵庫だという。

「目を直接冷やすことはできないので、目薬を冷蔵庫内で冷やして点眼することをお勧めします。これだけで結構充血の症状が治まりますし、目の中の菌も減ります。消費期限も長いため、『目がちょっとおかしいな』というときに意外と使えますよ。老若男女が使えるよう、防腐剤フリーの製品を選びましょう」。

一般的に充血には血管収縮剤入りの点眼が有効とされている。だが、収縮剤入りの目薬を何度もさした状態で受診すると、見たい患部が隠れてしまい診察が難しくなる懸念があるという。

そのため、「今日のデートまでに治したい! 」「明日の友人の結婚式はいつも通りの目で出席したい」といった緊急事態には血管収縮剤入りを、そうでない場合は人工涙液型の点眼剤を用いるとよいだろう。

そして何より、充血自体は目の不調を意味する体の"サイン"だ。「連日にわたり目の酷使が続いた」といったように比較的原因がはっきりしている場合は、その生活習慣をあらためて目を労わるようにしよう。

※写真と本文は関係ありません

記事監修: 味木幸(あまき さち)

あまきクリニック院長、慶緑会理事長。広島ノートルダム清心高校在学中に米国へ1年の留学。米国高校卒業後に母校に戻り、母校も卒業。現役で慶應義塾大学医学部入学。同大学卒業後、同大学眼科学教室医局入局。2年間の同大学病院研修の後、国家公務員共済組合連合会 立川病院、亀田総合病院、川崎市立川崎病院・眼科勤務。博士(医学)・眼科専門医取得。医師として痩身や美肌作り、メイクアップまでを医療としてアプローチする。著書も多数あり。