「目のトラブル」の代表例の一つとしてよく知られる充血。いつの間にか自然と元通りの状態になっていることが多いため、症状が出ても放置している人も少なくないだろう。だが、実は重篤な疾病につながる可能性がある充血もあることをご存じだろうか。
本稿では、あまきクリニック院長の味木幸医師の解説をもとに「充血の種類とケア方法」について紹介する。
結膜充血と毛様充血の違い
意外と知られていないかもしれないが、充血には2種類ある。一つは一般的に「充血」と診断されたときに使われる「結膜充血」。そしてもう一つは、黒目(角膜)付近が赤くなっている「毛様充血」だ。それぞれの特徴をまとめた。
結膜充血
まぶたの裏側や白目(結膜)部分に網目状態の血管が浮かび上がる充血。白目から黒目に向かっていくように血管が走行する。「目にごみが入る」「目をこする」「ドライアイ」などが引き金となって起きる目の炎症が原因となるタイプと、「長時間パソコンを使用する」といった目の疲れが原因となるタイプが多い。
毛様充血
黒目周囲の充血がひどく、黒目から離れるほど赤色は薄れていく。黒目から白目に向かって血管が走行するイメージ。また、血管の色も結膜充血に比べてやや紫がかっている。
このうちで、毛様充血がいわゆる「重篤な疾病につながる可能性がある充血」だ。
「毛様充血は虹彩炎などの黒目部分の炎症が原因で発症し、結膜よりももっと深い部分で充血が起きています。結膜充血と違い、『光を見ると痛みを伴う』などの症状も出ます。黒目周りにのみ血管が浮き出るとは限らないため、この毛様充血と結膜充血を一般の人が見分けるのは非常に難しいです」。
毛様充血は放置しておくと、最悪の場合で失明にいたる可能性もあるという。だが、その発症確率は「結膜充血に比べてゼロが3つか4つぐらい違う」とのこと。すなわち、充血の人を数百人集めた際に毛様充血の人が1人、2人見つかるかどうかというレベルで、大多数は結膜充血というわけだ。そのため、充血になったときにそこまで神経質になる必要はない。