元AKB48で女優の前田敦子が、"深夜の昼ドラ"と銘打つドロドロの恋愛ドラマ『毒島ゆり子のせきらら日記』(TBS 毎週水曜24:10~)で注目を集めている。5月4日放送の第3話では、昨年10月期にスタートした同局の深夜ドラマ枠で歴代最高となる視聴率3.6%を記録。大胆な濡れ場も話題となっている主演の前田の演技や撮影秘話について、橋本梓プロデューサーに話を聞いた。

主人公・毒島ゆり子役の前田敦子

――前田さん演じる主人公・ゆり子は、常に二股をし、不倫もしてしまうという恋愛において自由奔放なキャラクター。大胆な濡れ場も話題ですが、なぜ今回こういった過激な恋愛ドラマを作ろうと思ったのですか?

私は32歳の独身ですが、独身女性ならでは生々しい恋愛ドラマを作りたいと思ったんです。自分の周りの友達から聞いた話を集めたら今までにない赤裸々なドラマが作れると考えました。

――橋本さんの知り合いの体験談が盛り込まれているということですか?

橋本梓プロデューサー

そうなんです! 前田さん演じるゆり子と中村(静香)さん演じるナナミみたいに、すごく仲のいい友達としか話さないような恋バナをそのままセリフにしています。

――ゆり子みたいに常に二股をするという女性も、橋本さんの周りにいたんですか?

いましたね。二股だと伝えてから付き合うというのは、ゆり子らしさを出すために作りましたが、男を信じられないから二股するとか、不倫にどうしても走ってしまう女の子は周りにもいて、そういったいろんな人の要素を混ぜながらキャラクターを作り上げました。

――二股や不倫をテーマにしたドラマは、作品によって「不倫は絶対にダメ」「だれも幸せにならない」などと強いメッセージが込められていますが、このドラマを通してどんなことを伝えたいと思っていますか?

ゆり子は二股や不倫に走り、それ相応の罰を受けますが、世の中にはゆり子みたいに何らかの事情があって二股したり不倫してしまったり、一言でダメと言えない恋愛をしている人は多くいると思うんです。彼氏がいるけどほかの人に惹かれ、ストップできずに二股になったり、気になる上司がいて、既婚者だけど仲良くしているうちに一歩踏み込んでしまったり…。もちろん不倫や二股を肯定するわけではありませんが、当事者の心の内をしっかり伝え、共感してもらえるものにしたいと思っています。

――主人公・ゆり子役に前田さんを起用された理由は?

めちゃくちゃはヒロインなので、前田さんの爆発力、ただのアイドルじゃない感じがしっくり合うと思いました。前田さんは、『もらとりあむタマ子』で実際にいるような女の子を自然に演じたと思えば、『ど根性ガエル』や『イニシエーション・ラブ』では魔性の女やキラキラ女子を演じるという、両極端の役を演じ分けられる女優。前田さんだったら、仕事はしっかりしているけど恋愛はだらだらとしている二面性のあるゆり子を演じていただけると思い、お願いしました。

――実際に撮影を行ってみて、前田さんはいかがでしたか?

作る側の私が言うのもあれですが…ハマり役だなと! 台本そのままの世界から飛び出てきた女の子というか、どんどんゆり子になっていったなと思いました。台本を読んだだけだと、ゆり子はどんな女なんだって理解できないスタッフもいましたが、前田さんが演じることによってリアルな世界に。このドラマの世界観は前田さんが作り出しているなっていうくらいハマっていると思います。

――ゆり子というキャラクターを作り上げるにあたって、前田さんとどんな話をしましたか?

前田さんには、とにかく女性が共感できるドラマを作りたいとお伝えしました。前田さんも、自分の友達でこんな人がいるとか、自分もここは理解できるとか意見を言ってくれ、女性が共感できるものになっているか確かめ合いながら作り上げていきましたね。