初めて制作から関わった1stアルバム
――アルバム『起動 ~Start Up!~』を制作する上で、シングルと変わった点はありますか?
今回のアルバムでは、制作の段階から携わらせていただいています。シングル制作のときはマネージャーさんに「どうですか?」と言われたことに対して意見を言っていたんですが、今回は会議に参加するなど、直接制作チームとやりとりしています。
――会議ではどういうことを話されました?
まず「どういう曲を収録したいか」ということや、実際に上がってきた曲から「どの曲をアルバムに入れるか」ですね。あとは、アルバムの曲順などです。そういう経験を通じて、ものづくりって楽しいなって感じました!
――アルバムのリード曲は「ABSOLUTE YELL」。この曲をリード曲に選んだ理由は?
実は、制作チーム内でどの曲をリード曲にするかいくつか案が出たんですよ。でも、私が「『ABSOLUTE YELL』がいい!」って主張したら、これにしてくれました(笑)。
――そんな経緯が……!
「ABSOLUTE YELL」は、1stシングル「YES!!」作曲の高田暁さんと、2ndシングル「ENERGY☆SMILE」作詞の真崎エリカさんが作成してくれているので、制作チームで話し合った結果、最終的には「この曲が大橋彩香らしい」ということで落ち着きました。
――たしかに大橋さんらしさを感じる1曲だと思います。「BD付超限定盤」と「DVD付限定盤」には「ABSOLUTE YELL」のMVも付くんですよね。
はい! MVでは元気なカット、大人っぽいカットなど、いろいろ撮影しました。シングルのMV収録のときはひとりぼっちで撮影をしていたんですけど、今回はチアの方が2人も参加してくださったんです! 自分以外の方がいるMVを経験してみたかったので、一緒に出演できて楽しかったです。
――MV収録で印象に残っていることはありますか?
洋服を選んだり、自転車を漕いだり、料理をしたりと、いろいろなことに挑戦しています。なかでも印象に残っているのは絵を描いたことですね。
――どんな絵ですか?
私が飼っている猫の絵を描いたんですけど、周りから失笑されました。変な絵だったのかなあ……。
――ははは、最近ラジオやブログでもよく猫の話をしていますよね。
していますねー。フレアちゃんって言うんですけど、溺愛しているのでもう食べちゃいたいです!
――大橋さんでフレア……どこかで聞いたことがあるような。
『エウレカセブンAO』で私が演じていた、フレア・ブランから取りました。初めてのレギュラーで思い入れのある作品なんですよ。フレア・ブランはフランス出身のキャラクターなんですけど、フレアちゃんもフランスの猫なんです。名前を決めようとしているときにお母さんが「フレアちゃんでいいんじゃない?」ってアドバイスしてくれて、いい名前だなあって思っているんですけど、実際あまりフレアちゃんって呼んだことはないんですよ(笑)。
――え、なんて呼んでいるんですか。
いつもフーたそ、フーたそって。最近だともう、たそって呼んでいます!
――フレア要素なくなっちゃいましたね。
どんどん短くなっていきます(笑)
1st アルバム『起動 ~Start Up!~』リード曲 MV「ABSOLUTE YELL」short ver.
大橋彩香の中の明暗がぶつかり合う曲
――続いてはオリジナル曲「勇気のツバサ」についてお聞きしたいです。
「勇気のツバサ」は、作詞の結城アイラさんがレコーディング時に来てくださったんですよ。以前から結城アイラさんの曲を聴いていたので、まさか自分の歌に作詞をしてくださるなんて夢にも思っていなくて……めちゃくちゃ嬉しかったですね! あ、なんかただのファンみたいですけど(笑)。
――あこがれの人を前にするとそうなってしまいますよね(笑)。レコーディングの際にアドバイスをいただいたり?
もう、優しく見守ってくださる感じでした。
――大橋さんが完璧で言うことがなかったとか。
いやいやそんな! 逆に「勇気のツバサ」は、表現方法に悩んだ曲だったんです。「勇気のツバサ」はロック調でかっこいい曲なんです。いままでもキャラクターソングや、「Anisong Ichiban!!」ではこういった曲を歌うこともあったんですが、オリジナル曲としては初めてだったので、「大橋彩香」として、どう表現すればいいのか悩みました。
――大橋さんはロックが好きですもんね。好きな曲だからこそ表現が難しい。
ロック系は大好きなんですけど、実際に自分が表現するとなると……。でも、「スッと直球でボールを投げる歌い方」という、私の特長を生かして、とにかくまっすぐ一生懸命に気持ちを届ける歌い方をしてみたらいいんじゃないか、と自分なりに解決策を見つけました。実際にレコーディングのときにもそれがしっくりきました。
――訴えかけるような歌詞も印象的でした。
私、びっくりマークが付くくらい意志の強い歌詞が好きなんです。優しいものより、壁をぶち壊すようなイメージの曲。「勇気のツバサ」もそうですけど、今回のアルバムにはそういう意志の強い曲がたくさんあるので、そこに私らしさが入っていると思います!
――意志の強さと言うと「RED SEED」からはすごく感じましたね。
「RED SEED」は私の核と言うか……、一番深い部分に触れている曲です。お父さんからも「お前っぽいじゃないか」と言われたくらい。なので、アルバムの曲順も中盤あたりに置かせていただきました。でも、レコーディングで一番不安だった曲でもあります……。
――どういう点が不安でした?
まず楽曲の難しさです。キーが低くて、普段より半音くらいさげてレコーディングをしました。あと……曲へのアプローチ方法も苦戦したんですよ。レコーディングの際に、「いままでにはないような大人っぽくて、一生懸命歌わない、力を抜いた感じで」と言われて実践したのですが、そうすると逆に難しいメロディーが歌えなくなってしまって……。レコーディング中は「歌いこなすのに一生懸命です」と思っていました(笑)。最終的には、時間をかけて収録したということもありなんとか形になりました。
――満足いくものになりました?
はい、後日聴いてみたら納得のいくものに仕上がっていました! アルバムの曲順として、2ndシングル「ENERGY☆SMILE」の次が「RED SEED」になるんですけど、この2曲の対比がすごいんです! 声のトーンがガッと下がって、雰囲気もガラッと変わります。「ENERGY☆SMILE」がいままでのアーティスト・大橋彩香だとすれば、「RED SEED」は「大橋彩香は家に帰ったらこういうことも考えている」という部分が詰まった曲ですね。
――大橋さんの「暗」の部分が見える曲?
私の中の明るい部分と、影の部分がぶつかり合っているイメージですね。作詞のZAQさんに、「ぶつかり合う、バトルっぽいのがいいです」という私の想いを伝えたら、それを取り入れた歌詞にしてくれて。ZAQさんは歌詞で「本当の私」を表現してくれました。
――曲調からもバトルもののような雰囲気を感じ取れました。
いままでの私の曲は、エレキギターが目立つ曲が多かったんですけど、「RED SEED」ではギターが大人しくて、ピアノとベースが引き立っています。こういう曲も好きなんです。