新緑が美しい5月の鎌倉。この季節に鎌倉を散歩するなら、ぜひ立ち寄りたいのが鎌倉文学館だ。庭園の一角を占めるバラ園には、およそ190種230株の色とりどりのバラが咲き、「バラまつり」が開催される。今回は、文学館でバラを鑑賞した後、由比ヶ浜・長谷周辺を歩く、5月の鎌倉オススメ散歩コースを案内しよう。

瀟洒な洋館とバラの相性が抜群の鎌倉文学館

洋館とバラで異国情緒を味わう

まずは、江ノ電を由比ヶ浜駅で降り、鎌倉文学館へ向かおう。由比ヶ浜駅は住宅地の中にある小さな駅で、改札を出て左へ行くと由比ヶ浜のビーチや海浜公園のある海側エリア、踏切を渡って右に行くと鎌倉文学館などがある山側エリアだ。駅から150mほどで「鎌倉文学館入口」という交差点があり、角には「なみへい」という鯛焼き屋があるので、鯛焼きを買って食べながら散歩するのもいいだろう。

交差点を渡り、そのまま歩を進めると、次第に正面の山の緑が迫ってくる。文学館の敷地に入って石畳のアプローチを歩いて行くと、両側に新緑の木々が陽光を浴びて光り輝いている。さらに歩いて行くと、「招鶴洞」と名付けられた石の洞門が来館者を待ち受けており、洞門をくぐればその先に、いよいよ文学館の本館である青屋根の洋館が見えてくる。

鎌倉文学館の石畳のアプローチ。新緑がまぶしい

現在、鎌倉文学館として公開されている建物は、元は"加賀百万石"で知られる旧前田侯爵家の鎌倉別邸だったもの。明治20年代に和風建築の館が建てられたのが始まりで、その後、火災による焼失や関東大震災での倒壊を経て、昭和11年(1936)に今に残る洋館が完成した。

戦後はデンマーク公使や佐藤栄作元首相が別荘として使用した時期もあり、その後、鎌倉市が取得。昭和60年(1985)より鎌倉文学館として一般公開が開始され、現在、川端康成、大佛(おさらぎ)次郎、小林秀雄をはじめ、鎌倉ゆかりの文学者300人以上の、著書・原稿・愛用品などを展示している。

さて、この時期に楽しみなのが、本館前に広がる芝生の南側にある600平方メートルのバラ園に咲く、およそ190種230株のバラだ。「静の舞」「流鏑馬」「星月夜」など、鎌倉ゆかりの名前を付けられた花もあり、色も形も思い思いに花を咲かせている。

バラ園にはおよそ190種230株のバラが思い思いに花を咲かせる

バラは春と秋の年2回見頃を迎えるが、春バラは一斉に咲くのでとても華やか。文学館では、春バラの開花にあわせ「バラまつり」を開催し、期間中は庭園でのクラシックやジャズのコンサート、バラの解説など、様々な催しも行っているので、あわせて楽しみたい。

●information
鎌倉文学館
神奈川県鎌倉市長谷1-5-3
アクセス: 江ノ島電鉄「由比ヶ浜駅」徒歩7分
開館時間: 9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日: 2016年5月は9日、6月は20日

洋館もいいが、やっぱり鎌倉に来たならば神社も巡りたいところ。鎌倉文学館を訪れたその足で、今度は鎌倉最古の神社とされるところにも向かってみよう。