地震保険の保険料は、建物の所在地と構造によって決まります。保険会社によって違いはなく、同じ建物なら、どこの保険会社で契約しても保険料は同様です。例えば、東京で木造の建物なら、保険金額1,000万円あたりの保険料は年間3万2,600円になります(2016年4月現在)。

実は、保険料は地震の発生確率によって随時変更されます。研究によって、地震が起きる可能性が高いとみなされると値上げを行うのです。2017年1月には全国平均で5.1%値上げすることになっています。さらに、2019年・2021年にも保険料が引き上げられる予定です。

引き上げ幅は都道府県によって異なり、2017年から2021年の3回合計でみると茨城、埼玉、徳島、高知の4県は、全国最大の50%です。また、東京、神奈川、千葉、静岡は39%引き上げ。一方、京都、大阪、愛知、北海道など11の道府県は10~39%値下げとなります。

地震保険料の値上げ対策方法は?

地区によっては、大幅な負担増になる地震保険料の値上げ。少しでも負担を減らすためには、次のような対策があります。

(1)長期契約にする
保険期間を2年以上にして保険料を一括払いにすると、保険料が割引になります。例えば、5年間の契約なら約11%の割引です。

(2)耐震診断をする
地震保険には、耐震診断割引というものがあります。これは、地方公共団体などの耐震診断をして、一定の基準を満たすことを証明する書類があれば、保険料が10%割引されるもの。耐震改修をして、基準を満たした場合にも適用されます。

(3)建物を免震構造にする
これから家を新築、購入する人が中心ですが、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」という法律に基づく免震建築物と認められると、保険料が50%割引になります。あるいは、同じ法律に基づく耐震等級を満たすと、等級に応じて10%~50%割引される仕組みもあります。

(4)地震補償保険をつける
地震への備えとして、「地震補償保険」を選ぶ手もあります。これは地震保険とは別の仕組みで、世帯の人数に応じて300万円~900万円までの保険金額を設定できる保険です。例えば、東京で木造の建物に300万円の保険金額をつけるなら、月々の保険料は約1,810円。地震は心配だけれど、保険料は抑えたいときには、このような保険を活用してもいいですね。

地震はいつ来るかわからないもの。いざ見舞われたときには大きな被害が出る恐れもあります。家計に無理のない範囲で、早めに備えておきたいですね。

筆者プロフィール:加藤梨里
ファイナンシャルプランナー(CFP)、慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科 特任助教
保険会社、信託銀行を経て、ファイナンシャルプランナー会社にてマネーのご相談、セミナー講師などを経験。2014年に独立し「マネーステップオフィス」を設立。専門は保険、ライフプラン、節約、資産運用など。大学では健康増進について研究活動を行っており、認知症予防、介護予防の観点からのライフプランの考え方、健康管理を兼ねた家計管理、健康経営に関わるコンサルティングも行う。