映像コンテンツ・エンタテインメントの世界では「4K」の次のムーブメントと言われている「VR(Virtual Reality)。言葉自体は相当古くから使われてきたが、この数年、デバイスの進化によっていよいよ現実的な製品として一般ユーザーでも体験できるようになってきた。2016年が“VR元年”とも言われているが、果たして本当にそうなのだろうか。
本格的VRHMDがいよいよ市販開始
バーチャルリアリティ(仮想現実)は、CGなどを通じて「実際にはそこにないものを、あたかもそこにあるかのように体験する」ものとして定義付けられる。近年のVRブームは、「Oculus Rift」に代表されるVRHMD(ヘッドマウントディスプレイ)の高性能化により、現実さながらのリアリティを持った3D映像が、コンシューマにも手がとどく値段で楽しめるようになってきたからだ。
こうしたVRHMDに共通するのは、高解像度(フルHD~5Kクラス)・高フレームレート(90fps)の液晶と比較的広い視野角(90~120度前後)、頭の回転に合わせて視点も追随するための高精度な加速度センサーなどを備えている。左右の目に微妙に異なる映像を表示して3D表現している点もほぼ共通だ。高解像度で高度な映像を表示するため、表示コンテンツはPCやゲーム機などに依存し、単独では表示能力を持たないものが多い。
現在入手可能、あるいは今年登場予定のVRHMD製品は、発表済みのものから計画段階のものまで含めると10種類以上になる。代表的なものとしては前述の「Oculus Rift」やソニーの「PlayStation VR」、HTCの「HTC Vive」、これら製品とはやや趣を異にするが、Microsoftの「HoloLens」などが挙げられる。価格はまだやや高めだが、今後デバイスの普及に合わせて急速に低価格化していくだろう。
「PlayStation VR」。据え置きゲーム機の周辺機器という位置付けになるPS VR。使い勝手など民生品のHMDを長年手がけてきたソニーのノウハウが期待される。将来はPCなどに接続できるようになる見込み |
さらに既存のスマートフォンをHMD化する、簡易HMD製品として、「Google Cardboard」や「Galaxy Gear VR」などの製品を加えることができる。こちらはセンサー類を搭載していないものも多いが、その分安価であり、コンテンツの再生はスマートフォンが行うため、場所を問わず利用できる点が魅力的だ。
やはりハイエンドのVRHMDよりも、低価格な簡易HMDのほうが普及は早いはず。しかし簡易HMDではVRの楽しさをすべて味わえるとは限らない。そんなジレンマの中、比較的安価で本格的なコンテンツ再生が可能になるであろうPSVRの存在は、市場全体の中でも大きなポイントになりそうだ。