既に3~4年先まで考えられている

――『1789 -バスティーユの恋人たち-』『王家の紋章』が新作で出てくるとは、すごい年ですね。

 お客様も宣伝手法をご存知ですし、他社も知恵をしぼっていますから、「こう来たか!」というものがないと。期待を抱いていただきながら、その期待を断然上回りたい、そのために何をしたらいいのかを、宣伝担当は常に考えています。

『SHOCK』も16年続いていますが、毎回新しいことにチャレンジしているから、何回観ても新しい発見がある。堂本光一さんご自身も、生で新しいものを観てもらうことを大事にされていますし、それこそがライブエンタテインメントを作り続ける醍醐味だと思います。

――人気作を上演し続けるだけでなく、チャレンジを盛り込んでいくと。

 その上で、新しいものを作るのは一朝一夕でできることではなく、企画してから上演に至るまで、やはり3~4年はかかります。逆に言えば、今すでに3~4年先の話を進めているので、また「えー!?」というサプライズをお届けできると思います。過去のヒット作を毎年上演すれば良いと考えてはだめで、新しい作品にチャレンジしてラインナップに厚みを出していかないと、お客様の興味も尻すぼみになってしまいます。

稽古場も併設された劇場

――帝国劇場の特徴は、どのような点にあるのでしょうか。

竹本 1,800席を少し上回る客席数で、演劇を見せる劇場としてはかなり大きなサイズだと思います。音響などは、コンサートホールの方が優れているかもしれないですが、私たちは劇空間ですので、365日12カ月、満足いただけるようなスケールの大きな演劇を見せていくべきだと思っています。

帝国劇場の座席

――稽古場も劇場内にあるんですよね。

竹本 9階に帝劇の舞台面と同じ寸法の稽古場があって、地下にさらに小さな稽古場があります。次の公演の稽古はほぼ9階でやっていますね。役者さんもすれ違っているのではないでしょうか(笑)。

――この一等地に稽古場があるというのもまた贅沢な気がします。

竹本 当時の担当役員だった菊田一夫が心血を注いで作った劇場で、稽古場を入れたのも「これが必要だ」と考えたのでしょう。できてから50年たっても、われわれにとってはかけがえのない財産です。もう、こういった劇場を一から作るのは厳しいと思いますよ。

劇場内のオブジェやステンドグラスは芸術家・猪熊弦一郎氏の手によるもの

椅子の裏までメンテナンス

――劇場運営で、ふだんから大切にしていることはありますか?

竹本 細かいところですが、見えないところも含めて、清潔でなければいけないと思っています。例えば手すりや椅子の裏など、目には届かないところこそきれいにしていく。舞台裏もそうですが、常にメンテナンスをしていかないとだめになってしまいます。

――椅子の裏まで!

竹本 暗くて見えないところでも、意外とほこりがたまったりするんですよね。椅子も、バネがあれば壊れることもあるので、毎日毎日チェックをしています。まずは掃除からですね。

 手を抜いたらわかりますよね。「トイレが汚いな」「列が長すぎる」とか(笑)。列を短くするのは難しいですが……。

――誘導してくれるとうれしいですよね。

 ホスピタリティでカバーしていこうと。ハード的にもソフト的にも手が届いている、満足度高く帰っていただけるように、全社一丸となって取り組んでいます。

――作品によって内装が変わったり、劇場内が商店街のようになっているのもずっと変わらないのでしょうか。

竹本 私が演劇の仕事を始めて約20年経ちますが、にぎわいをつくるというコンセプト自体は変わっていません。非日常な異空間をお届けしたいと思っています。