『レ・ミゼラブル』『エリザベート』など多くの人気の作品を上演している帝国劇場。銀座にも近く、多くの買い物客や観光客でにぎわう有楽町・日比谷エリアに位置し、105年の歴史を持つ日本初の洋式劇場としても知られている。
様々な俳優が「いつか帝劇に立ちたい!」と思い、「日本ミュージカルの聖地」と呼ばれることもあるこの劇場は、一体どのような空間なのだろうか? 副支配人・竹本一輔氏、東宝演劇部宣伝室長・洗秀樹氏に取材を行った。今回は主に「帝国劇場」の基礎知識について紹介していく。
劇場を持つ幸せ
――100年以上もの歴史がありますが、どういった理由で建てられたのでしょうか。
竹本 開場が1911年、明治44年ですね。当時は欧米に追いつけ追い越せで、大きな洋式の劇場を建てようとなったようで、国を牽引していた実業家たちによって、民間で作られた劇場です。「帝国」と冠しているのですが、一度も国の資本が入ったことはないんですよ。
現在の阪急阪神東宝グループや宝塚歌劇団を設立した小林一三によって、1937年に東宝が吸収合併して直営の劇場となりました。
――都内の劇場が複数建て替えに入ってしまう、いわゆる「2016年問題」など話題になっていますが、ずっと存在してくれるのは頼もしいですね。
竹本 ライブエンタテインメントを発信する方にとって、ステージ=劇場はなくてはならない存在ですが、自分たちで創った演劇を、自分たちの劇場で観ていただけるなんて、これほど幸せことはないと思います。私自身は劇場運営というセクションで、特にビジネス面を厳しく見なければいけない立場でありますが、作り手の一端を担うものとして「劇場を持つ幸せ」を強く感じます。
――帝国劇場で観ることのできる作品で、おすすめなどはありますか?
洗 今はやはり、最新作『1789 -バスティーユの恋人たち-』ですね!(笑) 帝劇は100年の歴史のなかで、常にチャレンジをしています。バレエ、歌舞伎などからはじまり、『放浪記』『細雪』のような座長公演を行うようになり、『レ・ミゼラブル』という大型ミュージカルがやってきて、さらに2000年代になると『SHOCK』(現『Endless SHOCK』)というとてつもない作品がやってきます。今回の『1789 -バスティーユの恋人たち-』では、また新しい流れが加わったのではないかと思っています。
『1789 -バスティーユの恋人たち-』には、ミュージカル『テニスの王子様』に出ていた若々しいキャストも、宝塚歌劇出身の方も、帝劇にずっと立ってきたミュージカルキャストもいる。更に、生オケではなくデジタル音源を使っているところも特徴です。「ミュージカルは生オケ」という固定観念もあったのですが、実際に聴くと、ものすごいんですよ! ズンズンと重低音のリズム感があり、ダンスもすごくて、斬新ですね。おかげさまで評判も上々です。
――2016年のラインナップでいえば、『王家の紋章』も驚きました。
洗 『王家の紋章』もサプライズ演目だと思うのですが、帝劇ならではの大作感や格式を出していきたいと思っています。こちらのキャストも、山口祐一郎さん、濱田めぐみさんといったベテランから、若手ミュージカルスターの浦井健治さん、帝劇初出演の宮野真守さんなど、さらに音楽は『エリザベート』のシルヴェスター・リーヴァイさんという最強のキャスト・スタッフでつくる古代ロマンです。