女性ホルモンは皮膚や髪を若々しく保つなどといった特徴がある一方で、その分泌量の減少は生活習慣病のリスクを高め、更年期障害を招く。そのため、ホルモン補充療法を行う理由によって、治療に要する期間は異なってくるという。

「治療期間は数年間の人が最も多いのですが、美容目的でもっと長い患者さんもいらっしゃれば、本当に更年期障害などの症状がひどいときにだけ来院されて、薬を服用したら『もう大丈夫です』という患者さんもいます。治療のニーズは、かなりいろいろあると言えますね」。

それでも、治療のきっかけとなるのはほてりやホットフラッシュといった更年期障害が多く、日常生活に支障をきたすレベルになったら同クリニックの門をたたくというケースがよく見られる。他方で、20代後半や30代の女性でも生理不順のために補充療法を選択したり、自身のホルモンバランスを知るための検査をしたりするという。

プラセンタ注射を更年期治療に応用するケースも

ただ、更年期障害の治療に関して言えば、ホルモン補充療法をすることだけが必ずしも"正解"とは限らない。人によっては、市販の漢方薬で症状が緩和されるのを実感する人もいる。

「成長因子として汎用(はんよう)性の高いプラセンタ注射を更年期障害の治療の一助として使っている医師もいます。それで効果を感じれば、月1回の筋肉注射で治療を行うという人もいるでしょうね」と浜中医師。更年期における頭痛やイライラの治療の選択肢は多岐にわたるため、自分に合ったものを続けるのがベストだと言えよう。

記事監修: 浜中聡子(はまなか さとこ)

医学博士。北里大学医学部卒業。AACクリニック銀座院長。米国抗加齢医学会専門医、国際アンチエイジング医学会専門医などの資格を多数取得。アンチエイジングと精神神経学の専門家で、常に丁寧な診察で患者に接する。