さて、この東京手仕事プロジェクトだが、昨年にスタートし2016年4月21日に商品発表会が行われた。つまり、先に示した事業プロセスにおいて“5番”の段階まで消化し、“6番”の段階にさしかかったことになる。
では、どのような伝統工芸品が最終選考され、発表されたのだろうか。
都は東京の伝統工芸品として40品目を指定しているが、その品目のなかから14作品が最終選考され発表会で披露された。さらに14作品のなかから3作品が選ばれ、「優秀賞」「東京都中小企業振興公社 理事長賞」「東京都知事賞」をそれぞれ受賞。優秀賞は「おろし切子」、理事長賞は「四季の日傘」、都知事賞は「花紋・PLANET」という結果になった。
「Kimono Bento Tokyo」(東京染小紋・江戸更紗) |
「漆灯」(江戸漆器) |
「shamisen.」(東京三味線) |
「kulis ~くみひもうるしペン~」(東京くみひも) |
舛添都知事と受賞者のみなさん |
発表された作品や受賞作品については写真で確認してもらうとして、やはり重要なのは今後の展開だろう。
伝統工芸復活の起爆剤となるか
たとえば優秀賞を受賞したおろし切子は、江戸切子の技法を使って“おろし金”ならぬ“おろしガラス”を創出した斬新な製品。このアイデアを埋没させてしまっては、せっかくのプロジェクトが台無しだ。まずは4月23日(土)~4月30日(土)まで、伊藤忠青山アートスクエアにて「東京手仕事展」を開催しているが、こうした展示会や国内外へいかにアピールできるかがカギといえる。
おりしも東京五輪を4年後に控え、“TOKYO”への注目度が高まっている。2015年に約1,974万人と過去最高を記録したインバウンドも、昨年を上回る勢いで増加している。国内においても日本独自の文化が見直され始めている。伝統工芸にとって“上げ基調”ともいえるこの情勢の中で、東京都が手腕を発揮できるかどうか、今後が注目される。