Hey! Say! JUMPの動物なりきりもの、足立梨花も泣いた感動企画に拍手

日本の番組がフォーカスされる場面はほかにもあった。1,500人収容の会場がほぼ満席になるMIPTV人気のステージプログラムで、世界のトレンド新作バラエティ全21本の中に、フジテレビの番組がエントリーした。アメリカやイギリス、オランダ、イスラエル、北欧各国の番組が並ぶ中で、『クイズ なりきりアニマルパーク』と『THEプッシュマン』の2 本が選ばれ、昨年秋の「MIPCOM」に続く連続での快挙となった。

『なりきりアニマルパーク』は、アイドルグループ・Hey! Say! JUMPの高木雄也と伊野尾慧をはじめ、出演者全員が動物の格好で、動物になりきって真剣にゲームに挑むというもの。「動物・マスコットもの異色バラエティが世界でトレンド」として紹介された。国内では視聴率的にもヒット番組とはならなかったが、海外向けにアレンジしたものが評価を受ける形となった。

世界のトレンド番組として紹介されたフジ『クイズ なりきりアニマルパーク』

会場から拍手が起こったフジ『THEプッシュマン』

世界で注目されるバラエティ番組をみると、「見た目のインパクト」や「番組企画の斬新さ」が求められることが多く、陣内智則や足立梨花らが出演するドキュメントバラエティ『THEプッシュマン』は、そんな番組のひとつ。今回、「亡き夫の顔を特殊メイクで完全再現して願いを叶える」という1コーナーが、海外セールス用に開発された。願いが叶う場面は国内の放送時でも感動を呼んで話題になったが、今回のMIPTVでは、映像が流れ始めるとすぐに会場がざわつき始め、最終的にはあちらこちらから拍手が沸き起こっていた。

この番組を手掛けたフジテレビ国際開発局事業開発部の藤沼聡氏は「"よみがえり"の企画内容は、国によっては宗教上、懸念を示す意見もありますが、ギリギリのところを攻めた企画に対する評価が拍手につながったのではないでしょうか」と説明する。紹介された全21本なかで唯一、拍手が送られた番組にもなり、攻め方次第で世界のマーケットで勝負できる可能性が日本にもあることを示す瞬間だった。

オールジャパンで世界に売り込むプロジェクト

「トレジャー・ボックス・ジャパン」セッションの様子

今回のMIPTVでは、オールジャパン体制で番組を売り込むプロジェクト「トレジャー・ボックス・ジャパン」も取り組まれた。普段はしのぎを削り合う日本のテレビ各局が共同で「日本のバラエティ番組企画は新しい面白いものを取りそろえています」ということをアピールするもので、今年で4年目に入る。

恒例の公開プレゼンテーションとして定着し、今回からカンヌ映画祭の最高賞「パルムドール」が発表される最大規模の会場となり、約600人の海外バイヤーや各国の関係者を前に、NHK、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ、朝日放送、読売テレビの8社が横並びで登壇した。

トレンドを押さえたフォーマットセールス用の新作を、各局がイチオシでそれぞれ説明していくと、反応も上々。プレゼン直後に用意されていたバイヤーとの商談会にも、多くの参加者が足を運び、にぎわう会場で購買への一歩を進めている様子がみられた。日本の番組のチャンスは世界にも広がっている。引き続き海外に目を向けた取り組みに注目していきたい。

●「トレジャー・ボックス・ジャパン」発表番組(発表順)
・フジテレビ/FCC『Theミッション』
・テレビ東京『てくてく歩いてチャリンチャリン1歩1円』
・朝日放送『こども恋愛相談室』
・NHKエンタープライズ/NHK『ドキュメント72時間』
・テレビ朝日『ワイルド9~男女9職人の無人島漂流記~』
・日本テレビ『大家族クイズ』
・読売テレビ『チェーンアスロン』
・TBSテレビ『究極の男は誰だ!? 最強スポーツ男子頂上決戦』

「トレジャー・ボックス・ジャパン」プレゼン後の商談会の様子

日本のプレゼンがメインプログラムのひとつを飾っている(写真パネル最下部)