所得控除と税額控除の違いとは?

個人が寄附金を支出する際は、寄附をする先で所得控除と税額控除が選べるとも言えます。

どちらが有利であるとは一概には言い切れませんが、寄附金控除の所得控除は、収入金額から寄附金額が引かれてその後に税率を掛ける方法に対して、税額控除は所得税率の計算後に税額控除額を引くので、場合によっては税額控除の方が最終的な納税額が少なくなるケースがほとんどです。例として、下記の条件で比較してみましょう。

■条件
・年収500万円
・受けられる所得控除が基礎控除の38万円のみ
・寄附をした額 3万円

寄附金控除(所得控除)の場合

寄附金控除(所得控除)の計算方法は「年間の寄附金額-2,000円=寄附金控除額」ですから、

寄付金額3万円-2,000円=寄附金控除額2万8,000円
収入金額500万円-(基礎控除38万円+寄附金控除額2万8,000円)
=459万2,000円(課税対象となる所得金額)
459万2,000円×20%-42万7,500円=49万900円

つまり、49万900円が納税額となります。

寄附金特別控除(税額控除)の場合

寄附金特別控除(税額控除)の計算方法は「(年間の寄附金額-2,000円)×40%=税額控除額」ですから、

(寄付金額3万円-2,000円)×40%=税額控除額1万1,200円
収入金額5,00万円-基礎控除額38万円=462万円(課税対象となる所得金額)
462万円の所得税率は49万6,500円
49万6,500円-1万1,200円(寄附金特別控除額)=48万5,300円

48万5,300円が最終的な納税額となりました。

よって、年収500万円の場合、寄附金特別控除(税額控除)のほうが、寄付金控除(所得控除)よりも5,600円最終的な納税額が少なくなる計算となります。

控除を受けるには確定申告が必要

寄附金控除、寄附金特別控除を受ける際は必ず確定申告が必要となりますので、寄附金控除又は寄附金特別控除(税額控除)に関する事項を記載した確定申告書と、寄附金の受領証を持って確定申告へ行きましょう。

なお、ふるさと納税や各寄附金控除を受けるためには、所得のある人の名義で寄附を行うことも忘れないようにしましょう。

とは言え、最終的には、自分が支援をしたいと考える自治体やそれを助けている団体への寄附であることが大切ですので、その気持ちを優先させていただくと言うことは申し上げるまでもありません。

執筆者プロフィール : 丸山晴美(まるやま はるみ)

外国語の専門学校を卒業後、旅行会社、フリーター、会社員、コンビニ店長へと転職。22歳で節約に目覚め、年収が350万円に満たないころ、1年で200万円を貯める。26歳でマンションを購入。2001年に節約アドバイザ―として独立。ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザーの資格を取得し、お金の管理、運用のアドバイスなどを手掛け、TV、雑誌などで幅広く活躍している。