トレンドの早期発見がインバウンド市場攻略の近道

インバウンド市場を攻略するには、外国人旅行客のトレンドを掴むのが重要。外国人旅行客が欲しがっているモノや、行きたがっている場所に関する情報を早期に把握すれば、企業は需要取り込みに向け万全の体制を敷くことができる。しかし、日本人の思いもよらないスポットに集まったり、日本人が見過ごしていたモノに価値を見出したりしがちな外国人旅行客、特にFIT(個人旅行)の観光客が、次に注目する場所やモノを予想するのは容易ではない。

そこで注目したいのが、LIVE JAPANが持つトレンド情報の収集機能だ。どこの国から来た観光客が、何に興味を持っているかを掴むことにより、LIVE JAPANはサイトの内容を常に最適化していくことができる。LIVE JAPANの参画企業にしてみれば、同サイトで吸い上げた情報を本業に活用できるのは大きな利点。参画企業に同サイトの運営収入以外の狙いがあるとすれば、こういった情報にアクセス可能な立場を得られるという部分だろう。

ユーザーの国籍については、端末の設定言語からある程度の予測が可能。どんな人が、どんなことを、どこで調べているかが分かるため、トレンドの発生場所や外国人旅行客が目をつけている事象・商品に当たりをつけられる

鉄道事業者に集まる情報も貴重なヒントに

LIVE JAPANという枠組み全体を見た場合、鉄道事業者が多く参画している点もトレンド情報の収集には重要な要素となる。

鉄道事業者は飲食店や商業施設といった沿線の事業者と関係が深い。沿線の事業者から上がってくる生の声には、外国人旅行客が集まっている意外なスポットや、外国人旅行客に人気がある意外なモノに関する情報も含まれている。鉄道事業者自身が持つ情報も貴重で、たとえば何駅の駅員に外国人旅行客からの問い合わせが何件あり、その内容が何だったかといったようなことが分かれば、外国人が不便に思っていることを把握することができる。不便な点が分かれば、それを解消する新たなサービスの誕生につながる可能性もあるわけだ。

東京の主要な鉄道事業者のほか、航空会社、空港運営会社、運輸会社などが参加するLIVE JAPAN。参加者のなかには、独自の観光情報サイト設立を検討していた企業もいたようだが、結果としてLIVE JAPANとして一本化した。タクシー会社など、参画企業は今後も増えていく可能性が高い

トレンド情報の集積サイトになりうるLIVE JAPAN

拡大を続けるインバウンド市場の攻略を狙う企業は、外国人旅行客のトレンドに敏感である必要がある。LIVE JAPANの参画企業のなかには、サイトからの掲載料収入と同じくらいに、同サイトの運営によって取得できる外国人旅行客のトレンド情報に価値を見出している企業もいるだろう。

LIVE JAPANに登録する有料加盟店も、同サイトに集まる外国人旅行客のトレンド情報を活用できるかもしれない。注目したいのは、ぐるなびが実施している「ぐるなび大学」という取り組みだ。これは「ぐるなび」の登録企業に対し、ぐるなびが集客対策などのノウハウを提供する講義形式のセミナー。LIVE JAPANに「ぐるなび大学」のような仕組みを導入すれば、参画企業と有料加盟店が同サイトに集まる情報を共有することが可能となる。

「ぐるなび外国語版」のユーザーは200万人を超えているというが、ぐるなびの滝会長は、LIVE JAPANのユーザー目標を「ぐるなび外国語版」よりも上に置く。多くのユーザーが利用するようになれば、LIVE JAPANに集まる外国人旅行客に関するビッグデータの精度は向上する。その情報にアクセスしたいと考える企業が増えれば、LIVE JAPANの参画企業と有料加盟店が拡大するという好循環が生まれるだろう。

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