ぐるなび、東京急行電鉄、東京地下鉄(東京メトロ)の3社が、他の鉄道会社や航空会社などを巻き込んで仕掛ける訪日外国人向け観光情報サービス「LIVE JAPAN PERFECT GUIDE TOKYO」(以下、LIVE JAPAN)。名所や飲食店などの詳細情報を多言語で提供するウェブサイトで、参画企業は「ぐるなび」のように有料加盟店を主な収入源とするが、狙いは情報掲載料収入だけではないようだ。
多言語変換システムによるリアルタイムな情報発信
LIVE JAPANは「観光」、「食事」、「買い物」、「宿泊」の4ジャンルの情報をワンストップで提供するウェブサイト。トップページと情報コンテンツ(日本のマナー解説など)は8言語、施設ガイドサービスと便利機能サービス(交通案内など)は5言語で表示できる。参画企業は鉄道会社、航空会社、運輸会社などの計21社で、ぐるなび、東急電鉄、東京メトロの3社が事務局の役割を担う。まずは東京の情報をまとめたサイトとしてスタートするが、軌道に乗れば対象エリアを拡大する可能性もあるという。
飲食店であれば、料理の画像、材料、調理法、調味料といった情報を載せることで、ユーザーに来店の判断を促す。そのレストランに行きたいユーザーは、今日の混雑状況、現在地からの経路、クーポンなどの情報をワンストップで取得できる。店舗の予約機能は実装されていないが、ニーズがあれば検討するとのこと |
LIVE JAPANの特色となるのは、掲載店舗によるリアルタイムな情報発信。それを可能にするのが独特の多言語変換システムだ。同サイトでは訪日外国人向けに発信されている情報を分析し、掲載店舗が必要とするであろう単語を日本語であらかじめ用意している。
セール情報など、直近のイベントを外国人旅行客に知らせたい事業者は、使用する単語を選んで組み合わせるだけで、5カ国語による情報発信を行うことができる。この仕組みを飲食店が使う場合、例えば「今日の何時に新鮮な鯛が入荷します」というような情報を即時に発信することが可能だ。
「(インターネットが普及した現代では)今日の情報でなければ情報の価値はゼロに近い。常にリアルタイムな情報を出し続けられる仕組みが必要だ」と語るのは、ぐるなび創業者で同社代表取締役会長の滝久雄氏。東京の事業者が情報発信の主役となるのが理想と語る同氏が、LIVE JAPANで目指すのは「プラットフォーム型」の観光情報サービスだという。
事業性を左右する登録店舗数
LIVE JAPANには4月13日のグランドオープン時点で約2,500店の有料掲載店が登録を済ませている。掲載料には1万円から30万円までの幅広いプランがあるという。サービス開始時点の登録店舗数にLIVE JAPAN事務局は一定の手応えを得ているようだが、同サービスの事業性を高めるためには更なる加盟店舗の積み増しが必要だろう。ちなみに、1996年に事業を開始した「ぐるなび」の有料掲載店は2015年末時点で5万6,000店弱だ。
有料加盟店が順調に増えていけば、LIVE JAPANが「ぐるなび」のようなウェブサイトに成長し、参画企業に大きな収益をもたらす可能性がある。しかし、このサービスに参画する企業には、別の狙いもある。そう思う理由は、このサイトが持つ情報収集能力の高さにある。LIVE JAPANには、ユーザーがどの言語を使用し、どんなことを、どのスポットで調べたかという情報を解析する仕組みが実装されているのだ。