テスト環境の紹介

前述したように、Trion 150は、前モデルのTrion 100とカタログスペックはまったく同じなのだが、実使用でのパフォーマンスは最大50%向上しているとうたっている。Trion 100も、メインストリーム向けSSDとしては高いパフォーマンスを実現していたので、Trion 150の性能にも期待したいところだ。そこで、両製品のパフォーマンスを比較していくことにした。テスト環境は以下に示した通りである。また、検証に用いたTrion 150とTrion 100は、どちらも960GBモデルである。

今回のテスト環境
CPU Intel Core i7-3770K(3.50GHz)
M/B GIGABYTE GA-Z77X-UD3H(Intel Z77 Express)
メモリ DDR3-1600 8GB(4GB×2)
システムドライブ Western Digital WD10EADS(1TB HDD)
グラフィックス AMD Radeon HD 5770
OS Windows 10 Pro 64bit

Trion 150のCrystalDiskInfo 6.7.5の表示。省電力モードのDevSleepにも対応する

Trion 100のCrystalDiskInfo 6.7.5の表示。こちらも省電力モードのDevSleepにも対応する

CrystalDiskMarkの結果はほぼ同じ

まずは、定番の「CrystalDiskMark 5.1.2」の結果から見ていこう。Trion 150のシーケンシャルリード(Q32T1)は564.5MB/秒、シーケンシャルライト(Q32T1)は536.5MB/秒と、それぞれ公称値を上回る好成績であった。

それに対し、Trion 100のシーケンシャルリード(QT32T1)は563.8MB/秒、シーケンシャルライト(QT32T1)は531.1MB/秒で、Trion 150のほうが多少数値は上だが、ほぼ誤差の範囲だ。

Trion 150のCrystalDiskMark 5.1.2の結果(ランダムデータ)

Trion 100のCrystalDiskMark 5.1.2の結果(ランダムデータ)

また、通常のテストでは書き込むデータはランダムだが、すべて0で埋める「0Fill」でも計測してみた。最近は少なくなったが、SSDによっては書き込み時にデータを圧縮してから書き込んでいるものがある。そうした製品では圧縮のしやすいデータだと性能が上がるが、ランダムデータでは性能が低下してしまう。

Trion 150のCrystalDiskMark 5.1.2の結果(0Fill)

Trion 100のCrystalDiskMark 5.1.2の結果(0Fill)

Trion 150、Trion 100はともに0Fillでもランダムデータでもほとんど性能は変わっておらず、書き込み時の圧縮は行っていないことがわかる。データの圧縮のしやすさにかかわらず、安定した性能が得られるということなので、こちらのほうが望ましい。

AS SSD Benchmarkのファイルコピーテストではっきりと差が

次に、SSDに特化したベンチマークソフト「AS SSD Benchmark 1.8.5636.37293」を利用して、パフォーマンスを計測してみた。転送速度は、Trion 150のシーケンシャルリードが517.14MB/秒、シーケンシャルライトが497.45MB/秒であったの対し、Triton 100のシーケンシャルリードは514.53MB/秒、シーケンシャルライトは436.17MB/秒となった。

Trion 150のAS SSD Benchmark 1.8.5636.37293の転送速度の結果

Trion 100のAS SSD Benchmark 1.8.5636.37293の転送速度の結果

シーケンシャルリードはほぼ同等だが、シーケンシャルライトは明らかにTrion 150のほうが高速である。4K-64Thrdのランラムアクセスでも、リードは大差がないが、ライトはやはりTrion 150のほうが高速だ。IOPSについても同じ結果となっている。

Trion 150のAS SSD Benchmark 1.8.5636.37293のIOPSの結果

Trion 100のAS SSD Benchmark 1.8.5636.37293のIOPSの結果

AS SSD Benchmarkには、巨大な単体ファイルのコピーを想定した「ISO」、小さなファイルを多数コピーすることを想定した「Program」、さまざまな大きさのファイルが混在した場合のコピーを想定した「Game」という、3種類のファイルコピーテストが用意されている。このテストの結果は、実際の使用感との相関が比較的高いため、重要な指標である。

結果を見ると、ISOはほぼ互角だが、ProgramとGameについては、Trion 100よりもTrion 150のほうが明らかに速い。Programでは14%ほどTrion 150が高速であり、Gameでは9%ほどTrion 150が高速である。Trion 150では、キャッシュのアルゴリズムが改良されているが、そのあたりが効いているのであろう。

2,M@ファイルコピーテストの結果では、明らかにTrion 150が高速

また、AS SSD Benchmarkにはコンプレッションベンチマークと呼ばれるテストも用意されている。これは、圧縮が効かないランダムデータから、同じ値が続く圧縮しやすいデータへと、連続的にデータ構成を変えて転送速度を計測するテストである。 書き込み時にデータの圧縮を行うタイプのSSDでは、グラフが右肩上がりの曲線となるが、Trion 100、Trion 150ともにライトの性能が落ちるときはあるが、基本的にはほぼ水平であり、データ圧縮をしていないことがわかる。

Trion 150のAS SSD Benchmark 1.8.5636.37293のコンプレッションベンチマークの結果

Trion 100のAS SSD Benchmark 1.8.5636.37293のコンプレッションベンチマークの結果

ATTO Disk Benchmarkでも公称を上回る結果

最後に、「ATTO Disk Benchmark 3.05」を用いて、転送速度を計測した。ATTO Disk Benchmarkは、比較的高い数値が出やすいベンチマークソフトであるが、Trion 150では、転送サイズ64MBでのリードが565.127MB/秒、ライトが533.315MB/秒とリード、ライトともに公称スペックをやや上回る結果が出た。Trion 100では、転送サイズ64MBでのリードが562.757MB/秒、ライトが534.495MB/秒とこちらも公称スペックをやや上回る結果となったが、両者の性能差はほとんどなかった。

Trion 150のATTO Disk Benchmark 3.05の結果

Trion 100のATTO Disk Benchmark 3.05の結果

高いパフォーマンスは維持 - 実使用に近いテストではTrion 150優位に

Trion 150は、カタログスペックでは前モデルのTrion 100と同じに見えるが、実使用でのパフォーマンスは確かに向上している。リード速度は、それほど変わっていないが、キャッシュアルゴリズムの改良により、実効的なライト速度が向上しており、ファイルコピーなどでは明らかな差が出ている。シーケンシャルリードやシーケンシャルライトは、SATA 6Gbps対応製品では、ほぼ限界の速度までもってきているといえるだろう。

価格もメインストリーム向け製品ということで、Trion 100と同等になると表明されており、コストパフォーマンスは非常に高い。万一不具合が生じた際も、シールド・プラス保証によって、使えない期間を最小限に抑えることができる。

特に、HDDを搭載したちょっと古いノートPCを使っていて、レスポンスに不満を感じているのなら、Trion 150は換装用SSDとしてお勧めだ。また、デスクトップPCを自作するといった場合でも、Trion 150は有力な選択肢となるだろう。