笠間の芸術は陶芸のみならず

ギャラリーロードにある「回廊ギャラリー門」は中庭を囲む回廊型のギャラリー。屋外スペースは緑にあふれ、自然光が器をより魅力的に見せる。蔵を利用したギャラリーでは陶芸家の個展が開かれる。和小物のセレクションも充実しており、人気のギャラリーとなっている。

「回廊ギャラリー門」は文字通り、中庭を囲む回廊型のギャラリー。自然光と器が創り出すアートな空間が人気

笠間というと陶器というイメージだが、実は木工やガラス、民芸などのギャラリーも少なくない。全国のガラス工芸作家の作品を集めたセレクトショップ「glass gallery SUMITO」は、扱う作家の数や作品数は他にないラインナップで、ガラス工芸の体験教室も行っており、カップルや家族連れにも人気だ。工芸の丘のすぐそばにあり、ギャラリーロードのちょうど真ん中辺りに位置するガラス張りの建物で、陶器の小径にもつながる場所なので、散策の目印にもなる。

ギャラリーロードの真ん中辺り、ガラス作家の作品を集めた「Glass gallery SUMITO」。坂を上がった右手に工芸の丘、裏手の道は「陶の小径」につながっている

芸術に触れるカフェに行列ができる豆腐茶屋も

またこのエリアには、ギャラリー巡りの休憩やランチもできるスポットも充実している。ギャラリーロードにある「cafe WASUGAZEN笠間店」は、映画の予告編を制作する会社がプロデュースした店で、店内では最新映画の予告編50本が上映されている。庭に面したテラス席もあり、くつろげる店となっている。隣にはかわいいお稲荷さまのある公園があり、お散歩休憩にほっこりするのにぴったりだ。

笠間ギャラリーロードにあるかわいいお稲荷様のある自然豊かな公園。隣には「cafe WASUGAZEN笠間店」がある

「cafe WASUGAZEN笠間店」は映画の予告編を制作する会社がプロデュースしたお店で、店内では最新映画の予告編50本が上映されている。食事だけでなく、カフェ・デザートも人気(写真はワンプレートセット「ロースポーク」税込1,450円)

やきもの通りの奥に進むと、「笠間の家」がある。ここは新国立競技場のコンペでも話題となった伊東豊雄氏の設計で、現在ギャラリーとして活用されており、カフェも併設している。近くには陶芸の里、笠間を一望できる高台があるが、実にのどかで癒やされる場所だ。

「笠間の家」は伊東豊雄氏の設計で、現在はギャラリー・カフェとなっている。画像提供: 笠間観光協会

このほかギャラリーロードには行列ができる豆腐茶屋「佐白山のとうふ屋」がある。ヘルシーな豆腐スイーツも人気だ。お土産にはざる豆腐など、人気の豆腐製品はいかがだろう。

豆腐スイーツも楽しめる豆腐茶屋「佐白山のとうふ屋」にも立ち寄りたい

笠間へのアクセスはJR上野駅から友部駅まで特急列車で70分、友部駅から笠間駅まで普通列車で10分ほど。秋葉原から笠間までは片道1500円の高速バス「関東やきものライナー」も運行されている。 笠間の足としてはレンタサイクルもあるが、笠間駅や友部駅からワンコイン(100円)で利用できる「かさま観光周遊バス」が便利だ。1日8便運行されており、笠間稲荷神社や日動美術館、春風萬里荘など、陶芸の里以外の笠間の観光名所も回れる。

※記事中の情報は2016年3月のもの

筆者プロフィール: 水津陽子

フォーティR&C代表、経営コンサルタント。地域資源を生かした観光や地域ブランドづくり、地域活性化・まちづくりに関する講演、企画コンサルティング、調査研究、執筆等を行っている。著書に『日本人がだけが知らないニッポンの観光地』(日経BP社)等がある。