ガイドラインは誰のためのものなのか?
今回適用されたガイドラインは、キャリアによる加熱した値下げ合戦を是正しようというもの。端末を値引く原資が既存ユーザーの通信費であり、結果として機種変更しないユーザーにとっては負担が増えている、という指摘は一理あるように思える。しかし、もともとはそういった不公平感は、MNPや新規購入と機種変更の間の価格差として指摘されていたはずで、長年使ってきたユーザーの機種変更まで指導に含めてしまうというのは、少々現実と乖離しているように思える。問題となっている実質0円も、当初は「長期の利用契約で一定の収入を確保する」ための施策であって、「機種変更を繰り返す人だけが有利になる」ようなものではなかったはずだ。
そもそも、元をただせば「携帯料金を下げよう」という首相の一言で始まったはずのタスクフォースだが、なぜか話が端末購入補助金の是正にすり変わり、通信料金には割高な1GBプランが増えただけで、ユーザーとしては端末代が上がって出費が増える、いいことがひとつもない結果になってしまっている。いったい誰のために、どうして作成されたガイドラインなのか、さっぱり要領を得ない。「まずは端末代の是正から、次はサービスの低価格化」というのかもしれないが、首相の意を汲むなら、最初から料金に切り込むべきだろう。
総務省としては端末価格を是正したうえで、純粋なサービスの比較でキャリアを選ぶような体制にしたかったのかもしれないが、結果としては誰も端末を買わず、乗り換えず、販売店に閑古鳥が鳴く状況を作ってしまっただけに思える。これでは無策・下策と言われても仕方があるまい。総務省の目指すところがどうにもわからない、そんな印象だけを強める一幕だった。