三井製糖はこのほど、1型糖尿病患者(インスリン欠乏症)の患者とその家族で結成された「つぼみの会」と共催して、血糖コントロールについて学ぶ「おさとうの会」を開催。9回目となる今回は、おはぎやカレー作りを通して勉強した。
ゆっくり吸収される「スローカロリー」
1型糖尿病は、すい臓のβ細胞が破壊されることによりインスリンの生成ができなくなってしまう病気だ。日本においては約10万人に1人~2人程度が発症するとされており、幼い子どもの発症率が高いため「小児糖尿病」とも呼ばれている。血糖を下げるホルモン物質はインスリンのほかにない。毎日数回のインスリン注射によって血糖値が高すぎず、低すぎずの状態を保つ血糖コントロールが何よりも重要になる。
そこで近年注目されはじめているのが、砂糖と同程度のカロリーでありながら、体内にゆっくりと吸収されるため血糖値の急激な変化を招きにくい「パラチノース」だ。今回の催しでは、このパラチノースを含有する「スローカロリーシュガー」を使ったレシピを体験することで、糖尿病患者にとって大切な血糖コントロールについて学んでいった。
とっても甘いおはぎや、意外なカレーのレシピ
集まった子どもたちとその家族は、甘くておいしいおはぎにチャレンジ。管理栄養士の藤原恵子さんとともに、これからの行楽にもぴったりなおはぎを作った。
おはぎをはじめとする甘いお菓子は、糖尿病患者にとって急激に血糖値が上昇する恐れがあるため、本来は控えめにしなければならない。だが、今回のレシピではスローカロリーシュガーを使うことで血糖の上昇がおだやかになるため、通常のおはぎに比べて満足な量を食べられる。
子どもたちは、やわらかくなった小豆にスローカロリーシュガーを混ぜて煮詰めてでき上がったあんを、真剣な表情でラップを使って丸めていく。きなこや黒ごまをまぶしたアレンジおはぎも作られた。
もうひとつ紹介されたのは、なんとスローカロリーシュガーを使った「和風キーマカレー 根菜チップスのせ」のレシピ。レシピを考案したのは、料理研究家のコウケンテツさんで「子どもでも食べやすく、マイルドな味わいのカレー」だという。
スローカロリーシュガーを使うタイミングは2回。まずは玉ねぎ1個分のみじん切りに小さじ1のスローカロリーシュガーを振り、しっかりともみ込んでからフライパンであめ色になるまで炒める。スローカロリーシュガーが入ることで焦げやすくなってしまうが、「水を大さじ1程度足しながら、しっかり炒める」ことがおいしさのポイントだという。
炒めた玉ねぎに合いびき肉、にんにくを加えて炒め、そこにカレー粉、牛乳、ホールトマトを投入。みそ、酒、しょうゆの調味料とともに、ここでもスローカロリーシュガーが入れられた。それらがトロリとするまで炒め煮したらターメリックライスにかけ、れんこん、かぼちゃ、さつまいもをスライスして揚げたチップスを添えて完成となる。
丁寧に説明しながらデモンストレーションしていくコウケンテツさんの話に、患者家族は聞き入っていた。