どういった層に便利か
ワイヤレスゲートの「Wi-Fiを主、LTEを従」としたネットワーク運営方針はユニークだ。同社の説明では、ターゲット層にはライトユーザーを想定しているという。そこで、さらに具体的に、どのようなライトユーザーに響きそうかを考えてみたい。まず頭に浮かぶのがシニア層、ジュニア層、ヘビーユーザーの2台目需要といったところだが、ほかにも例えば生活費をできる限り節約したい新社会人が、自宅に固定回線を引く代わりにワイヤレスゲートの”使い放題プラン”のみで済ませることも可能だろう。
国内における利用者拡大の成否は、当然のことながらWi-Fi環境の整備をいかに素早く進められるかにかかっている。そこで気になるのが、FONのルーターの評判。かつて大手キャリアが無料で配布し、「つながらない」などのトラブルを起こしたことがあった。まずはこれを払拭したいところだ。ワイヤレスゲートではフォン・ジャパンと協力して、国内における整備を進めていく方針だという。直近の動きとしてはニセコリゾートをFON Wi-Fi化し、浅草地域にもWi-Fiスポットを増やしていくとしている。
海外でも現在、FONによるスポットが拡大している。したがって海外に頻繁に出かける人にとっては利便性が高いと言える。海外渡航者向けのモバイルルーターをレンタルする必要がなく、まして地元で対応するSIMカードを購入する必要もない。普段使いのスマホで、向こうでもWi-Fiが使えるわけだ。逆に、年に数回も海外に行かない人にとっては、こうしたメリットも感じられないだろう。
国内においては、在日外国人の需要が高まりそうだ。滞在期間が短い在日外国人にとって、契約期間に年単位の”しばり”があり、解約時には”解約金”がかかってしまう大手キャリアは契約しづらい。そこで格安SIMサービスが検討の候補に挙がるが、外国人にとってなじみのあるFONのWi-Fiスポットが利用できるワイヤレスゲートの新プランなら、解約金も0円であることもあり導入へのハードルは低いはずだ。
先の囲み取材で、ヨドバシカメラの松月氏は「今後も格安SIMサービスの取り扱いを増やしていく」と明言した。売り場で取り扱う量は現在、大手3キャリアを10とすると、格安SIMサービス全体で2~3程度だが、これを1年間かけて4~5くらいまで伸ばしていく方針だという。MVNO事業者にとっては、生き残りをかけた勝負が続く。群雄割拠の格安SIM市場、今後はサービスの差別化がますます重要なポイントとなりそうだ。