実は高額療養費も海外療養費と同様のルールが適用されます。あくまでその医療行為が日本国内で保険診療として認められており、日本での医療費に基づくといった制約がつきますが、これらの条件を満たせば海外で支払った医療費に対しても申請できるのです。

いざ実例でおさらい!!

例えば、健保に加入しているAさん(32歳・OL: 標準報酬月額は26万円以下)の自己負担限度額はひと月当たり5万7,600円です。旅行先のホノルルで虫垂炎をひき起こし、3日間の入院・手術を受けました。

病院で請求された金額はなんと約216万円(東京海上日動「世界の医療事情」参照: 3日間入院した金額)。日本の場合は医療保険による医療費が約40万円(差額ベッド代などは除く)で、3割負担で約12万円(千葉県医師会ホームページ参照)です。

日本の方がかなり安いものの、12万円という金額はAさんの自己負担限度額を軽く超えています。つまりこの医療行為が日本で行われたとしても高額医療費が適用され、12万円から57,600円を引いた62,400円が高額療養費として戻ります。

ちなみにホノルルで216万円支払ったAさん。これが日本だったら医療費全体(約40万円)のうち、健保が7割を負担してくれますね。つまり、海外療養費として28万円が戻ります。

海外療養費と高額療養費を合わせて342,400円は払い戻しを受けられるのがせめてもの救いです。ただし両者とも自動的に戻るのではなく、申請に基づく制度です。万が一の場合に備えて、申請に必要な書類を確認してから海外に出向いてくださいね。

※写真と本文は関係ありません

筆者プロフィール: 武田明日香(たけだ あすか)

エフピーウーマン所属、ファイナンシャルプランナー。日本テレビ「ZIP!」やTBSテレビ「あなたの損を取り戻せ 差がつく! トラベル! 」、「Saita」「andGIRL」等の雑誌、「web R25」「わたしのマネー術」等のウェブサイトなど幅広いメディアを通じ、お金とキャリアの両面から女性が豊かな人生を送るための知識を伝えている。お金の知識が身につく初心者向けマネーセミナー受付中(受講料無料)。