ベンチマーク結果「消費電力」
続いては消費電力。ワットチェッカーを利用してシステム単位の消費電力を計測したのが次のグラフだ。IdleはOS起動後10分の最小値、Loadは3DMarkのFire Strike Ultraを実行した際の最大値をプロットしている。
TDPが65WのA10-7860Kが一番低くなるのは当然として、同じTDP95WのA10-7890KとA10-7870Kを比べると、A10-7890Kが負荷をかけた際にで10W近く消費電力が上がっている。クロックを上げた分、消費電力が増えたということだろう。
さて、前述したとおり、A10-7890Kには新クーラー「AMD Wraith Cooler」が付属している。既存クーラーと比べてどの程度効果があるか試してみた。バラックの状態で負荷をかけ、CPUとGPUの温度とファン回転数の最大値を「HWMonitor 1.28」で取得した。
CPUとGPUの温度は、既存クーラーと比べて下回っており、AMD Wraith Coolerの冷却性能が確認できた。それ以上に注目したいのは、ファン回転数だ。高付加時に、既存クーラーでは3,154rpmだったのに対し、AMD Wraith Coolerでは1,859rpmと3分の2程度の回転数に収まっている。
ノイズに関しては電源のファンがうるさいということもあり、システム全体における体感的な差はあまりない。ただ、ファンに耳を近付けてみると確かにAMD Wraith Coolerの方が静かに動作していた。
まとめ
ベンチマークテストの結果をお届けしたが、基本的には動作クロックを引き上げた分、パフォーマンスも素直に向上している。ただ、差は5%程度なので、すでにKaveriやGodavari世代の同クラスAPUを使っている場合、リプレースとしてA10-7890Kを買う意味はあまりない。ただでさえ、AMDは2016年中に"Excavetor"コアを採用する第7世代APU「Bristol Ridge」の投入を予告している。
しかし、FM2+プラットフォームの下位APUからのアップデートや、セカンドPCや小型PCをこれから新規に組むのであれば、悪い選択ではない。パフォーマンスに加え、付属のAMD Wraith Coolerは、既存クーラーと比べて、冷却性/静粛性ともに大きく改善されているので、静音重視のPCを組むといった場合に、その強みが生きてくるだろう。